１５ｔｈ ＭＯＯＮ ８ ページ35
『何いってるの？かず？』
嘘だろ？嘘だといって、かず！
『ごめん、、、俺、翔のたった一人の
肉親を見捨ててまでして、
しやわせにはなれない、、』
『うひゃひゃ、
ひいさん、ほんにそれでよいのかえ？
願いはひとつしか、かなえられぬぞよ。』
お互いの願いがマッチしない。
月の神なら反故にするところだが、
魔女は報酬のもらえる、
かずの願いを優先した。
『御代は約束どおり、
その類まれなる声音としようぞ。』
魔女の声にかずは、ぎゅっと目を閉じた。
震える唇を血の滲むほど嚙んで、
かずは、翔の手を握ると、黙ってうなづいた。
『かず！』
涙をいっぱいためた淡い瞳で翔を見上げた。
かずは何とか微笑んでみせたが、
唇は震えていた。
(さようなら。)
声を奪われたかずの
唇がうごいた。
『嘘だ！魔女！取り消してくれ！
かずの願いを、今すぐ取り消してくれ！』
魔女に掴みかかった翔に、魔女はかずに
そっくりの、いや、奪ったかずの声で
高笑いをした。
『ははは。無駄じゃ。おまえさんも
早く逃げたほうがいいぞえ。
皇子が血相かえて、衛兵を連れて、
おまえさんを殺めにくる。』
物言えぬかずが必死に翔の手を引っ張って、
海面へ浮上しようとする。
翔はがんとして、動かなかった。
そのとき鋭い守矢が翔の頬を掠めて、
酸素ボンベのチューブを引き裂いた。
(ショウ！)
声のないかずの悲鳴。
魔女のかずの声音の甲高い高笑い。
綺麗なころころと美しいかずの男にしては
高めの甘い声も、今は禍々しく聞こえる。
『うぎゃ！』
高笑いする魔女の胸に鋭い矢が突きささった。
『愚かな皇子よ。わしを殺めれば、
ひいさんの声は二度と取り戻せぬわ！』
潤に殺された魔女の捨て台詞が、
おどろおどろしい朽ちた船に木霊した。
潤の怒りに満ちた整った顔は、
冷たく翔を見つめた。
『これが、おまえの望んだことか？
愛するものを守ることもできない、
愚かな人間よ。』
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つむぎ(プロフ) - まみさん» あーざーす。仕事が鬼忙しくなってきたので、書きかけのリンドしめたら、しばらく読み専になると思いますので、まみカフェあたりでお会いしましょう。 (2016年6月17日 22時) (
レス) id: c6db647c42 (このIDを非表示/違反報告)
まみ(プロフ) - 完結おめでとー(T^T) よかったー、よかったよう！ 人魚のふたり、きっと美しいやろうなあ…。お話の途中でザクザクに切り刻まれたココロも、ふたりがくっついて復活したよ！ おつかれさまでした(*´ω｀*) (2016年6月17日 20時) (レス) id: 301ac66011 (このIDを非表示/違反報告)
つむぎ(プロフ) - 12（とうふ）さん» かずくんのＢ−ｄａｙに間に合わせたいのと、仕事がたてこんでるのとで、あせって、はしょってます。ほんとは錦とか出てくるんだけど、、たぶん、中途半端な恋人８を完成させたら、半月ほど、ばっくれます。日本に久々、行くんで。 (2016年6月15日 7時) (レス) id: c6db647c42 (このIDを非表示/違反報告)
12（とうふ）(プロフ) - つむぎさん、つむぎさん、つむぎさん！！！！！（じたばた）サラリとした描写で流されている箇所がもうほんと勿体ないおばけでそうなくらい贅沢なんですけども、スピーディーな展開にドキがムネムネ。ドクターがいい人でよかった！ちっちゃな小瓶にいれて飼えませんか… (2016年6月15日 7時) (レス) id: c851ed20e9 (このIDを非表示/違反報告)
つむぎ(プロフ) - まみさん» 所詮、かなわない恋ですからね。つむぎのわるい癖でちょこっとだけはみ出すんですよ、いつも。もうすぐ仕事が忙しくなるので、しばらくかけないし。 (2016年6月10日 22時) (レス) id: c6db647c42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おおしまつむぎ
作成日時：2016年4月23日 13時
