其の七 ページ7
それから、智君は、
日頃、宮中に仕えている
見目麗しい女官たちを見ても、和也姫の
美しさには程遠く感じてしまいます。
他の人より清く美しいと思っていた姫も、
あの和也姫に比べると人並に
見えてしまいます。
和也姫ばかりが心にかかって、智宮は、
このごろ、誰もお召しにならずに、
ただ一人で過ごしています。
そんな皇太子を母親の身分が低いために
臣下に降下した、腹違いの弟、
翔君も気に病むようになりました。
「翔君、かづに文を届けて
欲しいんだけど、、」
思い余った智君は、和也姫への恋文を
翔君に託しました。
密かに和也姫に恋慕を抱く翔君には、
これは、つらい使者でした。
「摂政皇太子殿下より、文を、、、」
翔君の指に和也姫の小さな指先が触れました。
「なにゆえ、御使者はそのように哀しい
お顔をされているのですか？」
和也姫が眉をひそめて囁きました。
「かなわぬ恋をしております。」
翔君が唇をかみ、俯きました。
「わたくしも、、、
恋しゅうてならぬお方がいます。
でも、それは、あなたの兄君では、
ありませぬ。
でも、和歌のやりとりだけなら、
お受けしましょう。」
切なげに琥珀の瞳を眇める和也姫は
月の輝きよりも、たおやかで美しく、
翔君は、目をみはりました。
翔君は、その答えで、
和也姫には他に心に想う公達がいることを
知りました。しかし、それを、
兄に告げる勇気はなかったのです。
こうして和也姫と皇太子はお互いに
和歌を遣り取りするようになりました。
智宮と文通して三年の月日が経った頃、
和也姫は月を見て物思いに
耽るようになりました。
八月の(旧暦、今の九月)の
満月が近づくにつれ、和也姫は
さめざめと泣くようになったのです。
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つむぎ(プロフ) - シロさん» シロさん、コメ、あーざーす。あわてて、他ブラウザー立てて、更新できました。開けてびっくりのヒット数、なにごとじゃ。こんなめちゃくちゃなお話でも、楽しんでくださって、光栄です。 (2015年8月29日 1時) (
レス) id: c6db647c42 (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - つむぎさん！このシリーズも大好きです。かづや姫、最高です(^^)静御前のレア物のチョイスにもニヤニヤしてしまいました。続きをいい子で待っています。 (2015年8月29日 0時) (レス) id: 0897474c5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つむぎ
作成日時：2015年8月28日 0時
