イナズマイレブン～脅威の侵略者編～第9巻 (ページ11)

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（３８９）楽しみにしてるページ11

「はい、次の方〜。足元にお気をつけ下さ〜い」

列の前の人が動き、乗っていた人が入れ替わるようにしてゴンドラが空く。

円堂「きたきた！」

うんしょっと、と奥側に座る円堂。

夏未と秋が何やら互いを見合ってるのに対して、円堂は視線だけで聖羅をチラチラ見ている。

塔子「ふぅ〜ん……そういう事、かぁ」

聖羅「なにが」

塔子「何でもない、何でもない！いや〜ひっさしぶりだな〜観覧車！ほらほら乗った乗った！」

なぜか目をキラリと光らせた塔子が、聖羅の背を押してゴンドラへ押し込む。

円堂「え、ちょっ。お前らは乗らないのか？」

塔子「4人ならいいけど、5人だろー？固まるのもなんだし、この後二手に分かれようぜ！」

円堂「そ、そっかぁ〜……？」

妙に腑に落ちない返事をして、円堂と聖羅が乗ったゴンドラの扉が閉じられた。

手を振って見送る塔子の後ろでは、秋と夏未が機を逃したとばかりに肩を落としていた。

聖羅「…………」

頬杖を突いて外の景色を見つめる空翼。

……サマになってて、女子だけれどカッコいいと思う。

こっちは真隣に座られてるから妙に意識してしまう。

……ふと、外を見る空翼に違和感を覚えた。

なんか空翼の視線が、物珍しいものでも見ているように見えたのだ。

円堂「もしかして、空翼って遊園地初めてなのか？」

聖羅「そーな。こーいうのには縁なかった」

円堂「……じ、じゃあ！」

勢いで、ずいっと顔を近付ける。

円堂「オレが色々案内する！空翼が知らない事、オレが教える！約束したからな。もちろん、サッカーの楽しさもだ！」

聖羅「……へぇ」

あっ……これあんまり興味無さそうか……？

そう思っていたオレの手を、空翼が握り返してきた。

聖羅「楽しみにしてる」

円堂「お、おぅ……！……あ、アジト探すんだったな！どこだ〜？」

聖羅「…………、……あ」

円堂「ん？何か見つけたか？」

空翼が「アレ」、としゃくって示す先を見下ろすと、夜日名さんと瑩さんが園内地図片手に何か話し合っていた。

周辺の、主に女性から遠巻きに2人が注目の的になっている。

聖羅「……瑩は、凄いよ」

何が？とオレが聞き返す前に、こちらに背を向けていたはずの瑩さんが振り返った。

聖羅「名前、遠くから言うだけで反応すんの、あの子」

円堂「ええぇ……すげぇ……」

困惑と感心(？)で曖昧な返事になっていると、瑩さんが小さく手を振っていた。

……いやどんな視力だよ、と内心ツッコむ。