行ってきます ページ6
・行ってきます
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数分前からバタバタと忙しなく部屋を行ったり来たりしている足音がしている。その正体は寝坊をした賢ちゃんで、打ち合わせの時間が迫っていた。
「Aっ！あと何分？」
寝坊をした理由は二度寝をしてしまったことだ。
あと5分は寝ても大丈夫という謎の安心感と、布団という心地良さの誘惑に負けてしまい、余裕で30分オーバー。
気がついたときには飛び上がるようにベッドから出て、とりあえず眼鏡を掛けて着替えていた。
「5分は余裕あるー」
一方で私は午後からの仕事ということがあり、焦っている彼とは対照的に落ち着いている。
彼はああ、やってもうた。駅までダッシュせえへんと。などと独り言が多い。
シャツのボタンも上から1つずつ掛け間違えていて不格好。それに気づいたが、直すのが面倒なので何事もないようにジャンパーを羽織る。
上までチャックを閉め、証拠隠滅をしていたが私にはバレバレだ。
「これ一口でいいから食べてや」
「ん」
私は食べかけの食パンを差し出すと彼はハムっと食べて玄関へ急ぐ。
「コンタクト持った？」
「持った！」
慌てているときに履く靴はあり得ないくらいに入らない。彼もその例外ではないようで、踵の所で苦戦している。
「スーツは？」
「あ！ ない！」
あ！ の時点で察した私は小走りで寝室へ行き、ガーメントバッグを持ってきた。
「ありがとう！ 行ってくるわ！」
「いってらっしゃいー」
手を振り彼を見届ける。
バタンと玄関の扉が閉まり、先ほどまで騒がしかった部屋にシーンと静寂が訪れた。
時計を見るとギリギリセーフといった感じだ。
今頃めっちゃ走ってるんやろな。怪我だけには気いつけてな。みんなを笑わせるのが仕事なんやから。
それからギリ間に合ったという報告があり、ホッとした。
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音ルナ(プロフ) - わああめっちゃ素敵です！！ひとつひとつ細かな日常を切り取った作品って初めてだし、どれもが柔らかくて暖かくて幸せですね…大好きです…これからも応援しています！！ (2020年3月17日 22時) (
レス) id: 97421d7234 (このIDを非表示/違反報告)
ますみ(プロフ) - 初めまして。読ませて頂きました。ほっこりしました。川西さんのファンなので嬉しかったです。これからも楽しみに読ませ頂きます。 (2020年3月13日 13時) (レス) id: de19f339a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ebi | 作成日時：2020年3月13日 10時
