ｼｭｶﾞｰｼｭｶﾞｰｼｭｶﾞｰ (ページ42)

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ｻｲﾄﾞｽﾄｰﾘｰ ⑦ ページ42

・午後の陽射し

・川西side

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　チクタクと時計の針が進む音と布団や服の擦れる音。それらが眠りから覚めて一番最初の情報だった。

　そして自分の腕から離れていくような感覚。

　2人の間にできた隙間に新しい空気が入ってきた。

　さっきまですぐそばに居たAの存在が夢か現実かわからない程に朧げで。

　「……Aどこ行くん？」

　確かめるように声が出た。

　つけていたマスクは何処かに行き、寝起きで掠れているのがわかった。

　目を開けようとするがまだそれは出来ず、若干眉間にしわが寄る。

　少し上からいつもの声が聞こえた。

　「ご飯の準備したいねん。賢ちゃん解いてくれへ

ん？」

　返事が返ってくるだけで安心できてしまう。

　ご飯を作ってくれるのは嬉しいが今はこの状態が心地いい。解いてくれなんて言われても解きたくない。

　そんな彼女にお構いなしに僕はわがままを言う。

　「……いやや。行かんといて」

　子供みたいに駄々をこねて大人気ないなと思うが、しょうがないことだ。

　僕をそうさせるのはAのせいにしておこう。

　これ以上離れていかないようにと柔らかい腰に抱きつく。近づく度に彼女の甘い匂いが鼻腔を蕩かす。

　「まだ一緒に居たいねん」

　腕を引っ張って無理やり布団の中に戻す。

　向かい合うようにしてすっぽり収まるように抱きしめる。

　彼女はやれやれと脱出するのを諦めたような表情をしていた。

　素直になったのが可愛くておでこにキスをし、意地でも逃さまいと足を絡める。

　少しだけ身じろぎ数分経ったのちに規則正しい寝息が聞こえてきた。

　これが独占欲か……ただ甘えただけかも知れないが。心を許している彼女だけにしか見せない一面。

　いつもありがとうな。A。

　満足感と幸福感に包まれながら僕は二度目の眠りについた。

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