記憶1 ページ1
教室にへと入れば騒がしいのはいつものこと。しかし、今日はいつもよりも騒がしかった。理由を聞けばどうやら転校生が来るらしく。「男?!それとも女?!」なんて噂されている。
俺は別に転校生なんて興味ないからそのまま机に伏せて寝てしまおうかと思い目を瞑るが「宮はどう思う?!」なんていう男子の声によってそれは阻止される。無視したいところやけど無視したらしたで面倒くさい、渋々顔を上げ、口を開く。
「そんなんどっちでもええわ……。」
「おま、分かってへんな〜! 女の子やったらどうすんよ! 恋愛小説みたいな展開とかになったりして……」
「そんなんある訳ないやろ、恋愛小説の読みすぎ。期待する方が馬鹿やって」
そう言って、次こそは寝ようともう一度机に伏せ、目を瞑る。「何だとー!」なんていう声は聞かなかった振り。今日は寝不足やったからか、すぐに寝れて。……しかし、まあ勿論そんな何時間も寝れる訳ちゃう。何分か後したらチャイムで目が覚めてしまう。
がららら、と音を立て入ってくる怠そうな担任。「今日は転校生がいます」なんて皆知ってる事を言う。皆はそんなんどうでもええから早く転校生とやらに入ってきてくれ、と言わんばかりの態度で。
「それじゃ、入ってきて下さい」
先生がそう言った後、また扉が音を立て誰かが足を踏み入れる。ふわり と靡く髪 綺麗な黒髪 長い睫毛に くっきりとした目。そんな彼女は、俺がよう知ってる人で。驚きを隠せない。
そんな俺なんて知らないと言った風に「笹原Aです、宜しく御願いします」なんて自己紹介は進んでいく。ぱちぱち、とあがる拍手、「可愛い」なんていう声。けど今の俺にはそんなん思ってる暇なんてなくて、
「…………A」
ぽつり、久々に呟いた名前は周りの音によってかき消された。
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作者名:ねこまる | 作成日時:2018年1月17日 17時