～怪物の僕と人間の彼女～【オリジナル】 (ページ2)

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ダンピール・・・

それはかつて帝国で恐れられていた怪物・・・

人間の血を吸い、かつ人間にも吸血鬼にもなれない存在・・・

『エドガー、エドガー』

(A？なんでそっちにいる？早くこちに・・・)

『大丈夫よ。ほら！』

両手を広げて微笑んでいる。

『危ないから』

Aが駆け出す。

(ダメだ！そっちにいってはダメだ！)

叫んでも叫んでもAには届かない。

手を伸ばしてAに触れようとしても触れられない。

するとAがぴたりと止まった。

俺はAの腕をつかんだ。

腕を掴んだとたんヌルッと奇妙な感触がした。

慌てて自分の手のひらを見ると血まみれで口からも血が流れていた。

『A・・・』

俺は急いでAの方を見たが掴んでいた腕はなく代わりに血まみれのAが横たわっていた。

『妹は、お前を愛していた。ともに堕ちてもいいと・・・』

クリス、違う。違うんだ。

『何が違うんだ。現にAは死んでしまったじゃないか！』

俺は・・・俺は！

『うぁぁぁあ！

ハァハァ、夢か・・・

パタパタ・・・ガチャ！

『どうしたんですか？！』

ああ、いる・・・

『A・・・』

ギュ・・・

俺はとっさにAに抱きついた。

『何か怖い夢でも見たんですか？大丈夫ですよ。私は貴方が怪物だとしてもお側にいます。』

Aはやさしく俺の頭を撫でた。

妹はともに堕ちてもいいと・・・

さっきの言葉が蘇る。

『お前だけは生きてくれ・・・』

『クスクス、急にどうしたんですか？エドガーらしくないじゃないですか。』

『そんなに変か？』

『はい、少し飲みますか？』

『ああ、頼む。』

Aは俺の正体を知っている

。だからこそ俺は怖い

。いつか、いつかAを殺してしまうのではないかと・・・

『エドガー？』

『ああ、すまん。』

ガブッ！

甘い甘いAの血。ときどき思う。本当に俺でよかったのかと・・・

血を飲み終わると、Aが寄りかかってきた。

『・・・つらいか？体。』

『いいえ、ちっとも疲れてませんよ。ただ、もう少しだけ寄りかからせてください。』

『そんなのいつまででも構わない。』

『ふふ、じゃあもうすこしだけお願いします。』

暖かな春の陽気の中事件が起こる・・・