体操服、貸して 。 ( 緑 )

( 20 ) ページ20

．







亮「 めーーっちゃ久しぶりやAんち 」





亮ちゃんは何度か昔うちに来てた





亮「 あ、これ俺や！ 」





リビングに写真がたくさん置いてあって






その中の小学校入学式、




亮ちゃんと並んで撮った写真






『 お母さん気に入っててん(笑) 』





思い出に浸って




リビングの角にある仏壇にあたしは手を合わせる







お母さん、ただいま



亮ちゃん来たよ、覚えてるよね？







と、心で話した






．








『 はい、亮ちゃんどうぞ 』






さんきゅ、と言って姿勢良く仏壇の前で手を合わす亮ちゃん




亮ちゃんはお母さんとなにを話してるのかな






『 お母さんになんて言ったん？ 』






亮「 A、ママに似て綺麗になりましたねって 」





真っ直ぐな視線であたしを見るから




ものすごく恥ずかしくて




紛らわすために飲み物を取りに冷蔵庫を開けたら






飲み物を取ろうとする手に、亮ちゃんの手が重なった







．








亮「 A、 」





クルッと亮ちゃんの方に向かされて、器用に冷蔵庫を閉めた亮ちゃん




自然に冷蔵庫と亮ちゃんに挟まれる形になってた








亮「 A、綺麗になったな 」







優しい目で見てくるから目が離せなくて








．








気づいたら



静かに、静かに






．









触れるだけのキスしてた。






．

( 21 )→←( 19 )

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す