病弱少女と野球少年

第19話 ページ21

宿舎到着



「雰囲気あるなあ」



「おお」



水谷君と花井君がそんな会話をしているなか、私は巣山君と話していた。




「こういう宿舎って中学の頃の林間学校思い出すな」




巣山君が苦笑いしながら呟いた。



「そうなんだ！私、林間学校行ってないからなんか、すっごく楽しみ！」




「さあ着替えてそうじそうじ！そうじ済んだら山菜摘んできてね！夕飯も自分らでつくるんだよ！」




監督の大きな声が聞こえた。



「自炊だって！キャンプみたいで楽しみだね巣山君！私、キャンプってやってみたかったの！」




「おう、そ、そうだな(綾波って意外と元気だな)」






「よーし！まずはそうじだね！」





そして、私たちは宿舎のそうじにとりかかった。





(何をしようかな？あ！三橋君も何しようか悩んでる！よしっ！なら…)




「三橋君！一緒にあそこの長い廊下、雑巾がけしよ！」





「う、うん！」







ダッダッダッ



三橋君は勢いよく走って雑巾をかけている。
私は、走れないのでゆっくりだけど…




「ごめんね、三橋君、これじゃあほとんど三橋君がやることになっちゃうね…」




(私が一緒にやろうって言ったのに…情けない)




「ううん、大、丈夫、だよ！綾波、さんは、ゆっくり、やって！俺は、元気、だから！」




三橋君はそう言ってさらにスピードを上げて雑巾をかける。



(気を使ってくれたのかな？)



そう思うとなんだかすごく嬉しかった。




「ふふっありがとう」



そうしてまた、雑巾がけを再開した。

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水谷文貴

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