あかーし！！……って呼ばないでください【赤葦京治】

想いだけ ページ26

赤葦side


｢あかーし、今の、本気？｣

本田先輩が俯きながら震えた声で俺に聞く。


冗談です、なんて言葉じゃ片付けられない。
そんなことわかってる。

じゃあ、ただの先輩と後輩の関係に戻すには何と言えばいい？

答えは、見つからない。

これを嘘とするならば、俺はもう二度と先輩に顔向けできない気がした。

人の大切な想いを冗談とする、そんな人間にはなりたくなかった。

本田先輩に、そう思われたくなかった。


でもそんなのは後付けで、



｢はい。俺は、本田先輩のことが好きです。

たとえ、先輩が誰かに告白したとしても、この想いだけは、伝えたかったんです｣


先輩に、この想いを伝えたかった。
それだけだった。


本田先輩は静かに顔を上げる。


その目は相手の想いに真剣に向き合おうとしているようだった。



もう、あの頃には戻れない。


木兎さんと俺と、本田先輩のあの優しい時間に。

楽しくお弁当を食べることができたあの頃に。


戻れない。

そう、悟った。



本田先輩は深呼吸をした。


｢赤葦京治くん｣

いつもの元気なあかーしと呼ぶ声はもうない。

俺は本田先輩の目を見る。
綺麗で、とても強くて、誰よりも優しい目。


そしてその小さな口から告げられたのはー


｢ずっとずっと好きでした。


なんか誤解されてるけど…

好きです！付き合ってください！！｣



覚悟を決めていた別れの言葉ではなかった。

……え？？？→←壊したのは、俺だ

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