並中生徒会長の日常 3 (ページ9)

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並中生徒会長の異常 9 ページ9

リボーンが帰り、ベッドに横になる。

ギーグファミリーの殺害まで、あと少し。

殺害とわかっているのに、なにも手を出さないなんて、冷たい人間だな。
自嘲するも、虚しいだけだった。

「…クリアしていない方をより詳しく解析できるかい？」

それは【並中で5年間生徒会長を務めること。】の方。

未来へ行ったことの影響を大きく受けているようで、【約5年】と表示されたそれは、【YES】とボクの言葉に姿を変える。

そしてその文字と同時に現れたのは、【残り10日】。

せいぜいできたとしても、シモンを倒してお終いだろう。

【ファーストセレクト】

【セカンドセレクト】

そして、あの日見たものを思い出す。

【ファーストセレクト】は簡単に言うと、
『アルコバレーノになるか、ならないか。』というものだった。

それはアルコバレーノになるということ。

ボクは薄い意識の中、【YES】を選択した。

真っ黒だったおしゃぶりは、真っ白の…おそらくスペアのおしゃぶりとなった。

呪いは、【弱体化】。

毒の耐性もほとんどが無くなり、きっと体力も以前より大きく衰えている。

継続的ではないことが救いだが、それでも以前よりもずっと『弱くなった』。

そこらの奴らよりは強くとも、本気の鈴木アーデルハイトくんよりも弱いだろう。

おしゃぶりが白くなったのは、【YES】を押したから。

白いおしゃぶりをなんとなく触る。
そして10日後に現れる選択がまたある。

【セカンドセレクト】
この世界で生きていくか、生きていかないか。

それは現実での死を受け入れるか、ここで生きていくか。

あの子の死を受け入れずに、ここでのうのうと生きていくのか。

それは…どうしても、嫌だった。

自分を、許せなかった。

余命はあと少し。

なら思う存分やってやろうじゃないか。

生徒会長をやりながら……自分勝手に動いてやる。

「【セカンドセレクト】が最後なんだね？」

その言葉に、表示は【No】と返す。
まだほかにもあるというのか。

「残りのセレクトはひとつかい？」

【YES】

残りは、ひとつ。

けれど、それが怖い。
わからないのがここまで怖かったなんて、きっと思わなかった。

「【サードセレクト】の内容を見ることは可能かい？」

【No】

「…それは、アルコバレーノの解呪かい？」

【No】

もう、お手上げだった。

残り10日の人生。

10日後には、ボクはこの世界にいないから。

自分勝手に生きてやる。