並中生徒会長の異常 35 ページ35
雲雀side
彼女は、泣いていた。
それは見えないものだけれど、心が、泣いていた。
塊からアクセサリーへ変えることなく、そのまま形態変化をして戦っていた。
初見の武器で、君は泣きながら戦っていた。
けれど、それは恐怖からくるものではないとわかっていた。
声が聞こえてくる。
「君は、嘘つきだ！！」
敵を倒す。
「息するように嘘をつく！！」
敵を倒す。
「大切なのに大切と言わない！！」
遂に沢田綱吉ともうひとりの方へ行っていたやつらもAの元へ向かい、4対1となっていた。
「辛くなるのは自分なのに！！」
けれど、彼女の涙は止まらなくて、
「ボクはっ…『俺』はっ……お前のことなんかっ……」
同時に襲ってくる4人を、なにかで倒す。
きっと新しい機能かなにかだろう。
「……だいっ、きらいだっ……！！」
それでも彼女は相手を睨みつけながら涙をこぼし続けていた。
徐々に効いてきたのか、疲労が見え始めてきた。
6分の1だとしても、4人同時に攻撃されれば関係ない。
きっと彼女はそれを本能的に覚え、攻撃している。
きっと、みんなはAのことをすごいと言うだろう。
けど、僕だけは言わない。
絶対に、なにも言わないであげる。
それがきっと、『君の居場所』になると信じて。
？？？side
幻覚世界の中聞こえてきたのはスペードくんの優しさばかり。
ー罪というものは償うだけではありませんー
倒す。
ー罪は、背負うものとしても存在しますー
倒す。
ーどうか、この世界に、罪を背負い、生きてくださいー
倒す。
ー……私の代わりに。ー
古里が引き寄せ、沢田がイクスバーナーを放つ。
こちらに被害が来ないよう、“守護の陣・雨来”を周囲に展開し、3人以外の全員を守る。
そこからは、『モノガタリ』通り。
古里と沢田の力が合わさり、無事にD・スペードを…『倒してしまった。』
そして、エレナの気持ちを、沢田が…語った。
「“睡蓮の身心・爆”」
「！！なんだ！これは。」
「ただ、雨を降らせただけさ。…早く彼が眠れるように。」
涙を見られてしまうのは、嫌だろう？
わかるよ、それは『俺』も同じだったから。
ボクはペードくんに歩み寄る。
膝をつき座ると、スペードくんに多くの炎を渡す。
「A！！なにしてるの！！」
「そんなにたくさんの炎を渡して、D・スペードがもし復活したら…！！」
そしてボクは無言でスペードくんを、ぶん殴った。
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作者名：ドク | 作成日時：2023年9月6日 11時
