並中生徒会長の異常 21 ページ21
雲雀side
駆け寄ってきた跳ね馬に肩をかされる前に自力で立ち上がる。
僕が、負けた。
その屈辱がプライドを傷つけた。
「平気だよ。プライド以外はね。」
けれど、前回の黒曜のこともあり、Aも怒るのだろう。
いや、Aは怒らずに僕の心配や安心をするのだけれど。
あまり迷惑ばかりかけていられないな、と僕らしくないことを思う。
「お前ら、話がある。Aからだ。」
「Aが！？」
「ったく、来るのが遅せぇんだよ！！」
「まあ、落ち着けよ。Aのことだし大丈夫だろ。」
「アイツは極限に極限だからな！！」
「………」
なにかAが情報を掴んだのだろう。
そう思いたいのに、どうしても胸騒ぎが止まらなかった。
「…今まで世話になった。ありがとう。」
「…え……？」
「オレたちには…『最善策を作る時間がなかった。』これからは『最悪策しか選べない。』、そう…言っていた。」
「い、や…お前……なに言っ、て……」
嘘だ。
「雲雀、お前にはそれに加えてふたつある。」
「聞きたくない。」
「Aの『最後になるかもしれない言葉』だぞ。」
それは、あまりにも残酷な言葉だった。
「『ごめん』と『大好きだよ』…そう、言っていた。」
『ごめん』
『大好きだよ』
それは命の炎を灯した時に言っていた言葉で。
あの表情が再び蘇る。
嫌だ。
「ね、ねえ…」と沢田綱吉が話す。
「もしかして、Aがいなくなったのって……オレが…負けたせい、なの…」
「違ぇ。お前たちには悪ぃが、Aはシモンを今のバージョンで倒せるとオレは思っている。」
「なら、なんでだよ！！」
「『タイムリミット』。…そう言っていた。」
頭が真っ白になる。
その言葉に呼吸の仕方を忘れる。
砕かれたリングと、連れていかれた奴、そして着いて行ったA。
「絶対…全部吐かせてやる。」
僕の唯一の『同級生』。
簡単に、死なせるわけがない。
待っててね、なんて優しい言葉はないよ。
だって僕は怒っているんだから。
あのアホに、
絶対に首に手錠つけてやる。
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作者名：ドク | 作成日時：2023年9月6日 11時
