並中生徒会長の日常 3 (ページ15)

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並中生徒会長の異常 15 ページ15

雲雀side

「恭弥、悪いが並盛から少し離れる。あとは頼んだよ。」

そう言って消える。

いつも、どこか嬉しそうに。
けれど、今日は違かった。

いつもの嬉しそうな雰囲気はなく、むしろ厳しいぐらいの雰囲気。そしてその目は真剣だった。

「……なにがあったの。」

「…フィニが、シルフィリアが本当のことを話すと、言っていた。誰も居ない場所へ行くよ。…真実を知るために。」

リングを撫でる手つきは優しいくせに、その眼は悲しさに溢れている。

真実。

それはなにに対するものなのか。

聞こうにも、きっと今は教えてくれないだろう。
僕は自分勝手な自由人の生徒会長に「わかった。」と返事をした。
すると、彼女は「助かる。」と小さく笑うと、闇のような炎に姿を消した。

その夜、山本武が何者かに襲われ、重症となったことを聞いた。

？？？side

並盛から離れ、フィニから告げられたのは、ただの『懺悔』だった。
それも、『罪にすらならない』ものの懺悔だ。

「っ……そんなの罪じゃない！！」

フィニがビクッと反応することに、自分が怒鳴ってしまったことを思い出す。
「すまない。」と深呼吸をする。

「ごめん…でも、お前は、フィニは……シルフィリアは、悪くない。……誰も、悪くないんだよ…」

ボクはできる限りフィニを優しく撫でた。
アルマもフィニの味方だと、そう話していた。

フィニは嬉しそうにしていた。

けれど、ボクにはそれが嘘だと一発でわかった。

だから、ボクはどうしても、今のフィニを、信用することができなかった。

フィニが、事故を装って、自分から死にに行くような気がして。

暗い夜闇の中、心配と不安だけが胸を溢れさせていた。

焦燥感からか、口から出たのは第8の炎についてのことだった。

「…口にするなと言ったはずだ。」

「自分で自分がわからないほどに混乱しているんだ。少々……手合わせの相手となってもらっても？」

手合わせの相手、そう呼ばれたことが頭に来たのか、鎖が飛んでくる。

「それ、飽きた。」

「これでもか。」

「！！」

咄嗟に反応したが、それでも鎖が背中を掠め、羽織りは大きく切れていた。
そこからは、多分ケンカに等しいと思う。

「折角の羽織り傷つけて…腹立つね……本当に。」

「第8の炎について話した者を生かすわけにはいかない。」

「へぇ……やってみろよ。」

殺気と殺気がぶつかり合い、ボクたちの勝負が始まった。