並中生徒会長の異常 11 ページ11
「よし、サボりなし。全員登校確認っと。
んじゃ、恭弥あと頼んだ。」
そう言っていつも飛ぶ。
そこには、
「久しぶりだね、元気かい？」
「A！！」
「Aチャン！！」
必ず誰かいる。
今日は白蘭くんとユニたちだった。
「白蘭くんもだけれど、ユニはもっと久しぶりかな。」
「Aチャンの存在があったってわかった時、大泣きしてからね。優しくしてあげて♪」
「だって、いきなり……うう…A……！！」
「……トラウマ、作ったのかな、ボク…」
「うん、思い切り作ったね。」
大泣きするユニをあやす。
といっても、自分がやらかしたことだからなにも言えないし、そもそも言う権利がない。
ユニがある程度泣き終えたあとに、ブラックスペルの人たちに会う。
ボクが勝手にワープさせた人たちだが、「ありがとう。」「礼を言う。」とやら、感謝される。
ボクはすべて自分勝手に行ったというのに。
そして会う人たちに聞く。
『もし、明日すべてが終わっるなら、なにをしたい？』と。
色んな答えがある。
けれど、ここは「ファミリーと共にいる。」と選んでいた。
ひとりのトモダチを覗いては。
「Aチャン、もう死ぬの？」
「…え？」
「やっぱりかぁ…」と頭を抱えながらベランダの手すりに乗る白蘭くん。
夜だというのに風は丁度いい温度だった。
「なんでそうなった？」
「だって、Aチャンの顔前より暗いからね。」
「だからって」
「それに！
…僕は、Aの理解者だから。」
強く言ったあとに、ひと言ひと言を丁寧に。
大切な言葉のように話さないで。
「…僕、Aチャンが死んだら……一緒に死んであげる♪」
「は？何言って…これは、タイムリミットだから、前みたいになんてできないんだ……お前まで、トモダチまで、死なないでくれ、よ…」
やめて。
俺から、ボクから…『トモダチ』を奪わないで。
それが伝わったのか、白蘭くんは「わかった。」と前を向いた。
「ボク、変なとこにいてさ。」
「……うん。」
「ボクさ、たくさん…トモダチ、死んだんだ。……もしかしたら、助けられた、かも…しれないのに…」
「……うん。」
「だからさ、次はさ…ボクの番だと」
「違う。」
白蘭くんは目から雫を落としながら、ボクの言葉を遮った。
ボクは、なにも言わずに帰った。
けど、その目はとても真剣だったことだけ、覚えていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 14人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ドク | 作成日時：2023年9月6日 11時
