ボクの日常 33 ページ34
雲雀side
「なんでひとりで行ったの。」
「なんで僕になにも言わなかったの。」
「…なんでそんな危ない所へ行ったの。」
自分でもわかる、機嫌が悪かった。
それで周囲が固まっていることも、群れることをやめていることもわかっていた。
それでも、それ以上に機嫌が悪い僕に。
『たくさん心配かけてごめん。』
『待っていてくれて、ありがとう。』
その質問にこのアホは、謝罪と感謝を述べた。
そこでようやく気がついた。
自分はこの子のことを心配していたと。
帰りを待っていたと。
「お土産急いで買ってきたよ。」
「そんなヒマあるなら早く帰っておいでよ。」
「うん、ごめんなさい。」
廊下からお土産を持ってきたようで、深いため息をつく。
この子は困ったように笑っていただけだった。
「君は何を企んでいるのかわからないから、リードをつけた方がいい気がしてきた。」
「リードって…そもそもなにも企んでないけれど…？」
「要件もなにも言わずにメールで済ませて勝手に居なくなって生死不明になった奴はどこのどいつだ。」
「…ボク……」
未だに腹は立てども、この子をイジめることが出来るだけ幾分かマシになった。
「ケガは？」
「1回腕切っただけで、そこからはもっと気を張って対応した。」
「見せて。」
大人しく見せてもらったそこには傷ひとつなかった。
「最初の時で、薄くだったから。」と笑うが、それは笑っていないように見える。
「なにが不満なの。」
「…恭弥が。」
「僕が？」
「…名前を、呼んで、くれない。」
……それだけ？
「…他には？」
「ない。」
無欲過ぎる…のだろうか。
名前を呼ぶだけでいいなら別に呼んでやってもいいというのに。
「A。」
「うん。」
「呼んだけど。」
「うん、呼ばれたね。」
その声はいつもより弾んでいて。
なにかあったのかと顔を覗き込むと、うつらうつらとしていた。
そろそろ眠いのか。
とりあえず抱き上げて、ベットに乗せて布団をかける。
すると寝ぼけているのか、小さく話す。
「…初めて、ここに…並盛に、来て…自分の…存在、を…認識してもらえ…た。」
「……」
「それ、は…うれし、い…こ、と…だ…よ……」
本格的に寝に入ったAはよくわからないことを言っていた。
けれど、『Aにとって名前は大切なもの』ということだけはわかった。
僕は部屋から出ると、「Aが寝てるから静かに離れるように。」と草壁に話した。
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ドク(プロフ) - minniepeasukeさん» minniepeaskeさん、読んでくださりありがとうございます！そして褒め言葉ありがとうございます！（少々照れますが）。生徒会長シリーズは終わりましたが、好奇心で続きも書いたので、よろしければ読んでください。ありがとうございました！ (9月26日 21時) (
レス) id: f0778d3186 (このIDを非表示/違反報告)
minniepeasuke(プロフ) - すごく面白いです！！ これからもがんばってください YOU GOT THIS (9月21日 5時) (レス) @page5 id: 40586b4cac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ドク | 作成日時：2023年8月24日 18時
