番外編【姉じゃない、みんなのお姉ちゃん2】 ページ47
黒尾side
「何?お前歩いたら絶対何か貰うわけ?」
「…犬が歩けば棒に当たる、ってこういうこと?」
「いやそんなこと言われても…。」
少し歩けば声をかけられて、大体何か貰う。
最初にもらったカボチャ×3や、大袋の駄菓子×2、さっき食べたアイス(×8)。
そして今さっき山本が持たされたキュウリひと袋。
今も「タイシくん、お使いえらいね。」と、こどもと話して、バイバイと戻ってきたら「アメもらった。」と小さなアメ玉を数個俺のポケットに入れる。
待って?何勝手に入れてんの?
「いや貰いすぎだろ!」
「そうなんだよね。いつも要らないからって言ってるのに…。」
「なんで貰うの!?」
「さぁ?」
本人もわかっていないようで、両手を組む。
研磨が「暑い…。」と呟くと、少しコンビニで涼むことになった。
コンビニに入ると、またAが知り合いと遭遇したようだった。
「あ、ヒデさん。お久しぶりです。」
「おい、A。……なんだ、その後ろの。」
怪訝そうに俺らを見つめるおっさん。
そりゃそうだ、高身長の俺らは髪を染めてたりと不良に見られやすい。
それをAが話す。
「お兄ちゃんの部活仲間です。見た目ヤンキーっぽいけど、中身はいい人たちですよ。」
おっさんは俺らを睨むと、ジュースを大量に買い、やっくんに渡す。
「……人数分ある、好きなの飲め。」
「ヒデさん、ありがとう。」
そのおっさん、ヒデさんは「じゃあな。」とコンビニを出ていった。
「……お前ほんとなんなの?」
「だから何が?」
何も理解していない様子のAに、ため息をつく。
流石に店の中でジュースを飲むのも悪いと思い、公園へ行く。
するとまた出た。
「Aねーちゃんだ!」
ひとりのこどもの声により、公園のこどもたちの目がこちらへ向かい、ワラワラとAに集まってくる。
Aが「元気にしてた?」と話しかけると、「あれなぁに?」と俺らを指さす。
「あれはね、兵隊さん!」
「ぶっ!!」
兵隊さんという言葉に吹く。
「だから怖くないよ。」と話すA。
こどもたちを怖がらせない為の言葉だと理解する。
「じゃあ、Aねーちゃんはお姫様?」
「違うよ。Aねーちゃんは王子様。お姫様にはこれから会いに行くところ。」
「そーなの?」
「そうなの。だからいってくるね。」
Aはこどもに笑うと、俺らに「絶対に着いて来ないでね?」と圧をかけ、俺らは強制解散させられたのだった。
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作者名:ドク | 作成日時:2022年8月24日 18時