俺らの幼なじみは姉じゃない (ページ36)

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姉じゃない35 ページ36

研磨side

スマホゲームをしていると、Aが「研磨ぁ…。」とのそのそと歩いてきた。

「……どうしたの、Aがそうなるなんて珍しいけど。」

「鉄にぃとかママとパパ、研磨のことどう思ってるの？って聞かれたから『愛してる』って言ったらみんなおかしくなった。」

「…待って。それ外では言わないでって言ったじゃん。」

「？研磨のこと愛してるのに？」

Aの声に教室中が静かになる。
これは、ある意味マズイ。

「A…ここで言うのはやめて。」

「私今まで好きって言ってなかったから、いっぱい言うね、って前言ったじゃん。研磨も、鉄にぃも、ママもパパも愛してるから言いたいの。」

すると張り詰めた空気は変わり、「ファミコン+幼なじみLoveで安心した…。」「今どきファミコンって珍し。」「研磨羨まし〜！」などと茶化す声も聞こえた。
その声にAが反応する。

「みんなも言ってたよ。私はファミコン…ファミリーコンピューター？だからレトロちゃんって。あと『ぴゅあ』？だって。研磨、『ぴゅあ』って何？」

「びゅあ゛ぁぁ…」とクラスメイトのうめき声が聞こえて、ビクッと反応する。

「…俺も…ツッコミ所が多すぎて……どこから手をつければいいのか、わからないんだけど…。」

「？何が？」

「……いや、こっちの話…。」

机に顔を埋める。
Aにはもっとしっかりと一般常識について教えないといけない、と思った瞬間だった。

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「てゆーか、インターネット使わないのになんで昔の『ファミコン』なんて知ってるの？」

「前に知らないおじさんが、『ファミコンやらせてあげるからおじさんの家においで』って。『ファミコンって何？』って聞いたらファミリーコンピューターって言ってたよ。」

「「「あ？？」」」

「でもね、ファミリーだから、『みんなでやりたい！』って言ったら、『なんか…ごめんね…。』って帰っちゃった。みんなでやってみたかったのになー。」

「「「びゅあ゛！！！」」」

「……クロ…助け、て……。」

「研磨、辛いの？大丈夫？」

Aが頑張って椅子に座っている俺の背中を摩る。
そしてそのAの姿に「「「ヴッ…。」」」という声と、膝をつく音が聞こえた。

俺は一々反応しないで、とりあえず聞こえなかったフリしとくのが1番だと悟った。