姉じゃない17 ページ18
「星見るぞ。」と日本酒を持ってきたうーおじいちゃん。
「お酒飲めません！」と言うと、「自分の好きなやつ持ってこい」と言われた。
部屋の電気を消して星を見る。
最初は『静か』だったはずなのに、その『静か』にどこか安心してしまっていて。
だから、勝手に、うーおじいちゃんにお話した。
今日来た理由。
鉄にぃと研磨のこと。
バレーをしているふたりが好きだということ。
他にもたくさん話した。
自分勝手な語り。
でも全部うーおじいちゃんはそれを静かに聞いてくれていた。
うーおじいちゃんが口を開く。
「重いだろ。足のやつ外していいぞ。」
「足の、やつ？」
うーおじいちゃんが指さすのは、義足。
一気に顔が青ざめるのがわかった。
血の気が引く？血が凍る？わかんない。
なんて言えばいいのか、肝心な時に限って、わかんない。
「…そんな顔すんな。お前が寝袋持って、さ迷ってた時から俺はそれを知ってた。そんで、お前が辛そうだったから拾った。」
「なんで、バレたの。私、また、へたくそ、に…。」
じゃあ、私、黒尾家の、邪魔、に、なって、た？
わかんない。
どうすればいいのか、わかんない。
うーおじいちゃんがまた口を開く。
「俺はなぁ、ずっとバレーの監督してたんだよ。部員の様子見たりなぁ。だから部員より数が少ない、たったひとりなら俺は直ぐにわかる。ずっと本気でやってた俺だからわかんだ。そこらの奴らにはわかんねぇよ。
もっと自信持て、A。」
うーおじいちゃんのその言葉を否定することが出来なくて。
嬉しくて、よくわかんないけど、すごく、すごく……寂しくなって。
「…あいたい……。」
本心が口から零れた。
そこからは止まることなく口から本心が溢れる。
「てつにー…けん…まま…ぱぱ……あい、たい…。むかし、は…ずっと……ひとり、だった…のに……。なんで、なんで…さびしー、の…？」
涙が止まらない。
そう、こんなのどうってことなかった。
だって、ずっとひとりだったから。
ひとりで帰って、ひとりで家事をして、ひとりで勉強して、ひとりで寝た。
全部、全部ひとりだった。
なのに、なんで…こんなたった数日離れただけで……。
「さび、し…さびしぃ…ひとりは……こわいよっ…。」
うーおじいちゃんは何も言わなかった。
代わりに、静かに私の背中をさすってくれていた。
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作者名：ドク | 作成日時：2022年8月24日 18時
