俺らの幼なじみは姉じゃない (ページ16)

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姉じゃない15 ページ16

研磨side

「さっきさ、小さな子にこれ2本も奢ってもらっちゃってさ。1本飲んで、もう1本は体育館に着くまで保冷剤として使ってって。俺より小さかったのに、しっかりしてて…なんか姉ちゃんみたいだった。」

多分Aのことだと思うけど、「なんて言ってた？」と聞いてみる。

「おれがポジション気にしてるって言ったら、
ポジションってのは、役割を果たせるって『信じられてるから』任されるんだって。適当に選ばれてるわけじゃないんだって言ってた。
あと、それでも不安に思うなら、自分を選んでくれた、仲間を信じなさいって。
そしたらおれ、『信じられてる』って思ったら、なんかすげぇ自信出てきてさ…さっきまでムズムズしてたんだ。
そんでガーッてなって走ってたら道外れてさ。
そんぐらい嬉しかった。」

いかにもAらしい言葉に目が細まる。
『仲間を信じなさい』、ね。

誰かを支えるなら、誰かを理由にすればいい。

Aを支えるのに俺らを使うなら、翔陽を支えるのに仲間を使ったわけだ。

「悪ぃ！おれの話ばっかで！」と謝る翔陽に「別に。」と話す。
俺も嫌じゃなかったから。

「研磨のとこって強いの？」

「うーん、どうだろ。昔強かったらしいけど、1回衰えて…。」

強いか、強くないか。

「でも、最近は、」

それは俺らが1番知っていることで。

「強いとおもうよ。」

みんなが俺に、脳に、酸素を、ボールを回してくれるから。

「研磨！」

クロの声に戻る。

「クロだ。」

戻る…？
…どこか行ってたっけ？

まあいいや。

明日の試合に楽しみが出来たんだから。

「またね、翔陽。」

俺は翔陽に手を振ってクロの背中を歩いた。

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「なーんで直ぐに迷子になっちゃうの〜？」

「…Aの気持ちわかった気がする。迷子ってなるんじゃなくて、なってるものなんだね。」

「そうじゃないんですけど〜？？てか次も練習試合だからな！」

「…うん。…わかった。」

練習試合、忘れてた。

「君らの言うひょろっひょろのチビとは、俺達音駒の背骨で、脳で、心臓です。」

あ、クロにAのこと伝えるの、忘れてた。

「どうしたー？研磨。」

「……別に。」

怒られそうだし、明日でいいや。