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姉じゃない13 ページ14

日向side


「でさ!影山がこーんな顔して、日向ボケェ!!っていっつも言ってくるんだよ!!」

「うんうん。でも翔陽くんは引き下がらないでしょ?」

「うん!それで俺もーー」


自分より小さな子にスポーツドリンクを奢ってもらい、何かお礼をしようとしたら「じゃあ、少しおしゃべり付き合って。」と言われた。
最初はぎこちなかったけど、返答や小さな笑い声が嬉しくて、気づいたら両手を広げて色々なことを話していた。

話すこと、全部受け止めてくれて。

多分姉ちゃんとか居たら、こんな感じなのかなって思ったり。

だから零れたんだと思う。


「…俺、MBなんだ。しかもスタメン。…俺身長、小さいのに……おかしい、よな。」


少しだけ、不安が口から出たのは。

気づいたら漏れていた言葉に驚くと、「そうかな。」と声が返ってくる。


「でも、いいと思うよ?ワンチのMB。それだけジャンプ力みんなに認められたってことじゃん。別にバレーは身長が全てじゃないでしょ。」


ワンチのMB。
確かに俺はそうだけど、そんなこと話してない気がする。
考えてる俺に「ねえ、」と声がかかる。


「ポジション気にしてるなら一言。
ポジションってのは、役割を果たせるって『信じられてるから』任されるの。適当に選ばれてるわけじゃない。

もし、それでも不安に思うなら、自分を選んでくれた、仲間を信じなさい。」


その言葉が胸を熱くさせる。

じゃあ、先輩も、影山たちも、みんな、みんな…。


「キミを認めてるから。だからキミをスタメンに入れたんだよ。…もっと自分を認めてあげてよ、翔陽くん。」


その優しい声に、瞳に。


「………うん。」



不安は消えていた。








「10分も時間とらせちゃった。ごめんね。」

「いや全然!寧ろ俺の方が…。」


俺の方が、色々と…。


下から大きな瞳が俺を覗き込むと、俺の手をギュっと握る。
ビクッと反応すると、「最後に一言。」と優しい目が俺を見つめる。


「翔陽くんよりずっと身長が低い私から人生のアドバイス。

どんなに身長が大きくても、小さくても、世界はみんな同じ。平等で、不公平なこの世界の主人公はキミ。
この世界を決めるのは他人の言葉じゃない、翔陽くんが全てだよ。」


あまりに優しいその声に、俺は鼻が痛くなった。


「またね、翔陽くん。走り込み、頑張ってね。」

「おう!!!」


声が震えないように、一生懸命声をあげた。

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作者名:ドク | 作成日時:2022年8月24日 18時

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