俺らの幼なじみは姉じゃない (ページ1)

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姉じゃない1 ページ1

「Aちゃんって大人っぽいよね〜。」

「そう？あまりそう言われないけど…。」

たわいない、クラスメイトとの会話。

これからの為に『コミュニケーション』を学んでいる私は、クラスメイトとの会話に少し興味がわいた。

見た目のこともあり、こどもっぽいと言われることはあったが、大人っぽいと言われることは滅多になかった。

だから少しでも『大人』と呼ばれたことに喜んでいた自分がいた。
まあ、たったその程度に喜ぶのが1番こどもだと言うことを証明しているのだけれど。

環境が違うから色々と違うのだろうか。
例えば、物の見方、とか。

「可愛いものとか見ても、テンションクール。でもそれは冷たいじゃなくて、大人っぽいクールって感じだし。」

「興味はあるよ？」

「でもクールでかっこいいの。」

可愛いものとか欲しいものとかあっても、これ欲しい、なんて言えなかったし、察せられたらダメだったから。

「そうそう！
あと面倒見もいいよね〜。この前日直ほとんどやってくれてさ、ラッキー！ってより、ありがとうの方がすごかったもん！」

「忙しそうだし、楽しそうだったから。私手空いてたし。」

「そう！その面倒見の良さ！お姉さんって感じする！」

実際やってないよ、と伝えるより自分がやった方が早いだけだし…。
あと楽しそうなとこを引っこ抜くなんて、余程のことがなければしないでしょ、普通。

「それにさー。
勉強も優しく教えてくれて、もはや非の打ち所のないお姉ちゃん！って感じするよね。」

「「「ね〜。」」」

「…そういう、もの？」

お姉ちゃんどころか、家族すら最近出来たばかりの私には、家の色々なこと、『感情や本に載っていないもの』はいつだってわからないことばかりで。
勉強ができるできない関係なくわからないもので。

ふと、気がついたら口から出てしまった。

「家族って増えたら楽しい？妹とか、弟とか。」

『増えてしまった私』、『長女』、『妹』という存在。
それは『楽しい』ですむのだろうか。

弟の居るクラスメイトは答えた。

「うーん…

時と状況で変わるかな。」

「わかる〜。」と返す女子たち。
その中で私は『普通』に、「そうなんだ。」と返せただろうか。

どうやら家族、妹や弟の存在は『時と状況』によって色々と変わるらしい。