性別不明の歌い手は男性恐怖症でした。【さとみ君】

第９話 ページ13

「今日は男声なんだね。」

　「この前、女声だったんで・・・」

　 ヘッドフォンに手をあて、歌を歌う鏡花。

　 綺麗な声だな〜。

　 俺は鏡花の歌声をしみじみ聞いていた。

　「さとみさん？」

　「おわっ！？」

　 気づくと、目の前に鏡花の顔があった。

　 ぼうっとしてた。
　
　「あ、すみません・・・」

　「大丈夫だよ、少しぼうっとしてただけだから。」

　「そうですか・・・」

　 俺がぼうっとしてる間に歌い終わったのだろうか。

　 どれくらいぼうっとしてたんだろう。

　「あの、今回の歌、私がミックスしてもいいですか？」

　「いいの？それならありがたい。」

　「ありがとうございます・・・」

　 すると、鏡花は何かを思い出したのか、自分のバッグを漁った。

　「ライン、登録しました・・・」

　 と、俺に向けてラインの画面を見せてきた。

　 そこには、公式ラインと和泉さんのアカウント。

　 一番が良かったなぁ、なんて。

　「じゃあ、俺と交換しない？これからの連絡はラインでしようよ。」

　「・・・そうですね。あの、どうやって交換するんですか？」

　「和泉さんとどうやって交換したの？」

　「葉月ちゃんが全部やってくれました・・・」

　 ということは、登録も和泉さんがやったのか。

　 機械音痴なのか？ｗｗ

　「ラインの交換は、これをこうしてスマホをこうするんだ。」

　「へぇ〜。」

　 ラインの交換の仕方に興味を示す鏡花。

　 そんなに感動的な事なのだろうか？

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