無彩色【O.N】 (ページ35)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:69,710 hit

-35- ページ35

白衣の裾を靡かせて歩く先生が
トントン、とノックして病室に入ってくれば

いつもの“あれ”が始まる。

『ねぇ、家帰りたんだけど』

『まだだめ』

『なんで！俺元気だよ？』

『だーかーらー検査結果出てからね！？』

『いつでんの……』

『明後日！もうこれ5回目！』

『遅すぎる！』

いつの間にか仲良くなった先生と
大野さんの言い争い。

まだ退院出来ないのは分かってるけど
お決まりのセリフで迎える大野さん。

それから3日経って無事に退院が決まった。

検査の結果が出ました、
退院していいですよ、なんてことはなくて。

手続きとか色々あるから
あと3日はここにいることになる。

心配で仕事に行けないなんて
嘆いてた翔さんも俺も

今では普通に仕事に行って
夜、プリンを買って大野さんの所に来る。

『もうプリン食えないね』

寂しいなーって翔さんに言うと

『また…智くんの家に行くからさ、』

なんて。照れてる。

プリン持ってきてね、って返してるから
翔さん、それ大野さんの思うツボです、

プリンが食べれないのが寂しい大野さんと
自分に会えなくなるのがさみしい、
と思ってる翔さんは相変わらずいいコンビ。

なんて心の中で思いながら。

ほんとに大野さんが無事でよかった、と。

恥ずかしいから言わないけど。

プリンを食べながら思った。