無彩色【O.N】 (ページ17)

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大通りまで出ればタクシーは簡単に見つかってすぐに乗れた。

どこに行ってたのかわからないけど電車で行くぐらいだから少し離れていたんだろう。

大野さんの家からは少し離れている病院。

窓ガラスには激しく雨が叩きつけていて。

傘を握る手が少し震えてるのに気づく。

いつもならそんなにかからない距離なのに今日はすごく遠く感じる。

15分は経ってると思っていても時計は5分も進んでなかったりする。

雨で混む道が余計に気持ちを焦らす。

やっと着いた病院前。

お金を払ってすぐに降りる。
少しでも早く行かなきゃ、って思った。

正面のロビーから入って静かすぎる病院の廊下を走れば看護師さんの『走らないでくださいねー！』なんて声が聞こえてる。

赤いランプのついた扉の前の椅子に

小さくなって座ってる翔さんが見えた。

『しょうちゃん……』

自分でも驚くほど震えた声で呼ぶと顔をあげて少しだけ笑ったあと『ニノ……』と呟いた。

その笑顔はすぐに曇って肩を震わせて泣きだした。