無彩色【O.N】 (ページ1)

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『おーおのさん……入るよ……？』

起きてーって起こしに来るのはうちのヒモ……じゃなくて居候……じゃなくて同居人。

ある雨の日にスーパーの帰り道一人で歩いていたら傘もささずにふらーっと歩いてる猫背な後ろ姿を見た。

少し後ろを歩いてたらふらーっと道路を斜め横断し始めて……。

車が来ていた。

『あ、危ないっ！』

気づいたら体が動いていて傘を投げ出して道路に飛び出していた。ドン、っとつき飛ばして一緒に反対側まで走る。

あっぶねぇ……

ごめんなさい、すいませんでした、ってなにも映さないような瞳でこちらをちらっと見て言うとまた歩き出した。

このままにしたら同じことする……

直感でそう感じた。

気づけば手首を掴んで引き止めてた。

『家おいで、風邪ひくよ』

基本はいえに人をあげたくないのに、
今日はいいと思った。

濡れた体を拭くためのバスタオルを用意してお風呂も沸かしてコーヒーを入れて出てくるのを待った。

なんでここまでしてあげるのかなんて分からなかったけど今日はそうしたいと思った。

明日そうしたいと思うかなんてわからないけど今日はなにかしてあげたい、と。
そばに寄り添ってあげたい、そう思った。