You're my only one! Ⅲ (ページ27)

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■かたおもいページ27

side Yugo

なかなか帰ってこないAを探しに出れば、
事務所の廊下でその姿を見つけた。

声を掛けようと一歩踏み出した俺は、
慌てて勢いがつきかけた足を止める。

「阿部ちゃん…」

昔、Aと阿部ちゃんが付き合っていた。
その事を知っているのは俺とふっかさんだけ。

あの先輩による事件の前からふたりは
付き合ってたらしいんだけど、事件後は仕事上も
プライベートも俺らといる事が多くなったA。

そんなある日、突然飛び込んできた光景。

桃「付き合ってる意味ないよね、って
　言われちゃった…」

高「え、え！？」

桃「ねぇ、こーち。フラれた現場みといて
　そんな言葉しかでてこないの？苦笑」

高「あ、ごめん…」

桃「あー……結構、ダメージ」

そう言ってAは悲しそうに笑った。

あの頃、毎晩電話をしてたけど、
一度もAは泣いたりすることはなかった。

阿「ちゃんとAの話聞いて、向き合ってたら…
　まだ隣に居られたのかなって。
　 ……俺、今でもAの事諦められてない」

桃「…亮平……」

Aが走り去り、残された阿部ちゃんは
しばらくその場に立ち尽くしていた。
そこに現れたのはやっぱりふっかさんで。

ふたりはエレベーターに乗っていった。

俺は自販機でAの好きな紅茶の缶を買う。
ついでに自分の分のコーヒーを買って、
Aが走り去った方向へ。

高「A」

桃「こーち…」

高「ごめん、見ちゃった」

ぽつぽつと語り出すA。

俺の知らない新たな情報まで出てきて
内心すごく焦った。

でも、俺が伝えたいことは決まってる。

Aに幸せになって欲しい。

それが樹の隣なのか、阿部ちゃんなのか…
北斗、大我…誰かなんて関係ない。

俺はね、Aが心から笑っていてほしいの。

高「Aがさ、別に阿部ちゃん選んでも、
　俺はAが幸せなら別に反対しないし」

桃「じゅりだもん…」

高「あっはっは！」

桃「こーち、意外とSだ…」

頬を膨らませてAが走っていくのを
ゆっくり歩いてみていた俺。

急に右ひじを掴まれ、体勢を崩した。

微妙な苛立ちを纏い視線をあげれば、
そこには見知った顔。