× 4 ページ4
4月といってももう夏の暑苦しさはすぐそこまで迫っていて、体育館の中はサウナのように湿度の高い熱気でこもっていた。
この季節に、バスケットボール。
もうすぐ、球技大会があるからだ。
迷惑をかけない程度に手を抜く私と相反して、
全力でプレーするタイプの真由子は、汗をかいたせいで着替えに手間取っていて、私は体育館の外で涼みつつ真由子を待っていた。
『あ、Aだーー！』
突然前方から明快な声がして、顔を上げる。
「しょうだーー！」
廊下を走って風を連れてくる彼を見て、思わず顔がほころぶ。
サラサラの髪を靡かせ、愛嬌たっぷりの笑顔で駆け寄ってくるしょうは、大きな犬みたいでかわいい。
しょうとは、去年文化祭の実行委員で仕事を共にしてから意気投合した。
他クラスだけどこうして廊下で雑談を交わすくらい仲がいいのは、しょうだけ。
『体育だった？』
「そー」
『今なにやってんのー？』
「バスケだよ」
『A、バスケできる？』
「うーーん、
あんまり汗かきたくないタイプかな」
『っははは！Aらしー！』
白い歯を見せてケラケラ笑うしょうはむしろ、華麗にシュートを決めてチームを牽引するタイプだろうな、と思う。
全部匙を投げられるほどの度胸があるわけじゃないし、だからといって何にでも全力投球できるような熱量もない。
しょうとか真由子とか、私には眩しくて羨ましい。
『なんか元気ないーー』
「っうわぁ、！」
そういう顔をしていたら、しょうは私の頭を、犬を撫でるようにわしゃわしゃっとした。
犬みたいなのは、しょうの方なのに。
じゃ、と手を上げて入れ替わりで体育館に向かうしょうを見て、真由子とのやり取りが頭をよぎった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2259人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Fujisaku888(プロフ) - やっば！やばやばです！もう最高でした！続き、楽しみに待ってます！！！！！ (2019年8月12日 21時) (
レス) id: d78f9adad7 (このIDを非表示/違反報告)
reeein(プロフ) - もう、天才だと思います。テスト期間の唯一の癒しです、続き待ってます！！ (2019年7月23日 1時) (レス) id: d8f0974525 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - やっぱり、いいですねえ〜( ´ ▽ ` ) (2019年7月21日 16時) (レス) id: 383a94bb9b (このIDを非表示/違反報告)
禊(プロフ) - みさとさん» 嬉しい〜〜です〜〜！！！まだしばらく続く予定ですので引き続きお願いしますね〜〜！o(^-^)o (2019年7月21日 9時) (レス) id: 877a6ff071 (このIDを非表示/違反報告)
禊(プロフ) - reeeinさん» ワ〜〜！コメントありがとうございます（ ; _ ; ）なんとかかっこいいキャラのまま走れるよう頑張ります〜〜！(？) (2019年7月21日 9時) (レス) id: 877a6ff071 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：禊 | 作成日時：2019年6月17日 23時
