7話 ページ10
隙間から射し込む眩しい日差しで目が覚める。
…とても嫌な夢を見た気がする。
「はぁ…」
重い体を起こし、目を擦りながら辺りを見渡す。
「おはよう。森、早いな。」
森がまだ寝ぼけている私とは対象的にしゃきっと座っていた。
「嗚呼、おはよう。年の功ってやつだよ。」
何処か歪な笑みを浮かべながら森が云う。
そうか、と微笑しながら返し、ちらりと太宰を見る。
まだ幸せそうにぐっすりと眠っている太宰を見て頬を抓る。
何時もの整った顔がびろーんと伸びるのがたまらなく愉快で何度も抓ってしまう。
「…いひゃいよ…涙香……」
流石に抓りすぎたか、太宰はパチリと目を覚まして私の手を握り制止した。
「ふふっ…嗚呼、すまないな……」
「謝ったら許される訳じゃないんだよ……そんな悪い子にはお仕置きが__」
「黙れ気色悪い」
妖艶(笑)に笑う太宰の手を払い瓦礫の隙間から外へ出る。
「…何時なんだ、今は。」
誰に答えて欲しいわけでもない問いを呟く。
…太陽をもっとよく観察しておけば太陽の位置で時間が解ったのかもな。
呑気にそんな事を考えると聞き慣れない声が耳に入る。
「9時18分よ。」
「そうか、有り難う…。って、お前は誰だ!?」
声のした方を振り向くと__
長い黒髪に黒い瞳、灰色の外套に身を包んだ美しい女が私を見つめていた。
その美しさと云ったら、女の私ですらドキリとしてしまうようなものだった。
「…林芙美子、よ。以後お見知りお気を。まァ_」
口元に孤を描きながら外套の中に手を入れる。
「此れからタヒぬのですけれど!」
黒い銃口が私を捕らえた。
ピクリと動いたら今にも殺されてしまいそうな程の殺気だ。
「林芙美子、か。」
確か此奴は__銀の匙の一員。
太宰があともう少しの処まで追い詰めたのに逃げられた相手。
「…そんなに美しいのに勿体ない。何故此の道に進んだんだ。」
「煩い!………人には人の事情ってものがあるのよ。」
怒鳴ったあと、少し辛そうに小さく呟く。
…事情、か。
「どんな事情で人を殺していい訳ないだろ」
「黙れ黙れ黙れ黙れ……!」
かちりと引き金に手をかける音がする。
然し私はにやりと笑った。
「何故笑うの……此れから……タヒぬのよ…?」
「死なないからな。後ろを見てみろ。」
林の後ろにはメスを弄ぶ森と、まだ眠そうな太宰が立っていた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
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まるてん(プロフ) - 鯖の味噌煮さん» こちらこそコメントありがとうございます。更新出来ると言いつつ遅くなってしまい申し訳ありませんT_T この作品を好きでいてくれる方がいるのだと実感でき本当に励まされます。ぜひこれからも読んで頂けると幸いです…! (2021年7月15日 12時) (レス) id: 1c66422c77 (このIDを非表示/違反報告)
鯖の味噌煮(プロフ) - 更新ありがとう御座います!本当に素敵な作品ですのでどうか無理なさらずお書き下さい。いつまでも気長に楽しみにしております! (2021年7月15日 0時) (レス) id: 2d6934bde3 (このIDを非表示/違反報告)
まるてん(プロフ) - 鯖の味噌煮さん» わ!この作品を好きでいてくれる方がいてとても嬉しいです…!コメントとても励みになります!更新頑張ります、ありがとございました! (2021年3月10日 10時) (レス) id: 1c66422c77 (このIDを非表示/違反報告)
鯖の味噌煮(プロフ) - お気に入りに入れ何度も読み返していたのでとても嬉しいです!!更新楽しみにしています! (2021年3月10日 8時) (レス) id: 2d6934bde3 (このIDを非表示/違反報告)
まるてん(プロフ) - からすさん» あ、そうです…!そこに気付いて貰えて嬉しいです…!有難うございます。からすさんも、体調にお気を付けて…! (2018年1月12日 23時) (レス) id: 00d4fdc1e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まるてん x他2人 | 作成日時:2017年8月3日 15時