第5話「オオカミ少女と過去ノ話・壱」 ページ6
．
小鳥のさえずりが聞こえる森の中、大神神社という神社がありました。そこには狼神『真神』が祀られていました。真神は人間の言葉がわかり、善人と悪人を判別する能力を持っていました。
真神は正しい行いをする人を守り、悪い行いを働く人は厳しく罰しました。
ある日、真神のもとに１人の少女がきました。
「オイヌさま、オイヌさま。村の人達が皆、消えてしまいます。どうか皆を守ってください。」
少女はか細く、震えた声でお祈りをしました。
「なんじゃお主、まだ童子じゃろう？まずは自分の心配をせい」
真神は少女の願いを叶えるべく、少女の前に現れました。
「オイヌ、さま？」
「そうじゃ、オイヌさまじゃ。お主の願い叶えてやるから安心せえ」
真神は最近村の様子がおかしいことに気づいていました。１年ほど前までは人間は毎日のように大神神社に来てはお祈りをしていましたが、村の近くに十六夜神社という神社が出来てからはほとんど人間が来なくなりました。
＿＿真神はもちろん、その神社が出来てから人がいなくなっていることも知っていました。
「童子よ、十六夜の晩、そこに案内してくれるかね？それまでは毎晩此処に来るとよい」
「うん！」
十六夜の晩まで、かなりの日数がありましたが、少女は毎晩忘れることなく神社にきました。
ーーーーーー
「オイヌさま！これ食べて！」
「なんじゃ？」
「おにぎり！私が作ったの！」
少女の手には竹皮で包まれた歪なおにぎりがありました。
「これはこれはとても美味しそうじゃ。じゃが１人で食べるよりお主と食べた方が美味そうじゃな。一緒に食べてくれるかの？」
「いいの？」
「もちろん。」
「やった！」
真神は少女が痩せ細っていってることに気づいていました。
「魚を採ってくるからの。此処で待ってなさい」
「うん！」
少女が腹を空かしているのを考慮して真神は近くの川で魚を3匹ほど採ってくることにしました。
＿＿それにしてもその日の月はとても赤かったそうな
第6話「オオカミ少女と過去ノ話･弐」→←第4話「オオカミ少女の本当の名前」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月と狼 | 作者ホームページ：http://hono
作成日時：2020年10月16日 0時
