[vol.4] もし西浦高校野球部の女子ﾏﾈｼﾞが２人いたなら

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阿部「ごちそうさま、うまかった」



椎名『はーい、食器置いといていいよ』



朝起きると、既に食卓には「１日オケってくる。朝ご飯は適当に食え。シュンは部活いった。姉より」と、汚い字で書かれた紙切れが置いてあった。



オケるとは、カラオケをすることらしい。



昨日、あの後行くところはすぐに決まった。



映画館のある、大型なショッピングモールだ。



阿部「そういや、私服まともなの持ってきてねーから家で着替えてくる」



椎名『ん、行ってらっしゃーい』



わたしも着替えてこよっと。



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どんな服にしよう…



ワンピースでいいかな。

でもカジュアルな感じでロゴＴにショーパンでもいいかも。


あ、スカートでもいいな。


せっかく出かけるんだから、かわいいかんじの服がいいだろうな



うーん…



そのとき、玄関の開く音がした。



阿部「ただいまー」



椎名『お帰り！阿部くんちょっと来てー』



んー、という声と共に、タンタンと階段を上がる音が聞こえてくる。



阿部「入っていいの？」



椎名『いいよー』



ガチャ


阿部「失礼しまーす」



椎名『わあ！阿部くんの服かっこいい』



阿部「別にいつものやつだし」



(オレ何言ってんだよ、いつもの服なわけねーだろ。ちょっといい感じの服選んだじゃん)



椎名『ねえあのさ、どっちがかわいいと思う？』



そう言って、わたしはワンピースとスカートを見せた。



阿部「何着ても似合う」



椎名『うっあ…と』


そういうことサラッと言わないでほしい。


まあ、サラッと言う＝どうでもいいってことなんだろうけど


わたしが黙っていると、



阿部「まあ…かっかわいい方は…右だな」



そう言ってワンピースを指差した。



椎名『じゃあこれにする』



阿部「オレの意見でいいのかよ。センスないぞ、オレ」



椎名『ううん、今日は阿部くんがいいって言った方の着るんだ』



阿部「へえ」



(へえ、じゃねーよ…！


オレなんでこんな冷静になれてんのか意味わかんね。



てかもう本当に、


.


.


.


今日くらい…勘違いしててもいいよな──)

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