第二夜 ページ3
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『……だあっ!』
ガバッゴチンッ
太「痛っ?!!!」
『あ、ごめん』
いきなり起きたので太宰とごっつんこしたらしい。少しも嬉しくないけど。
『そんなに痛かった?』
太「かなり…君石頭だから…」
『なんか云った?』
太「何も」
『…もともとそっちが覗き込んでたのが悪…』
云いかけて、どうして自分がこんな状況なのかを思い出した。そうだ…私は太宰に…。
『…!』
これは…。
『お前…何が目的なんだ』
太「ああ、これのこと?」
じゃら、と太宰が私の足首の鎖を持ち上げる。
『ああ。何がしたい』
太「それはもう感づいてるでしょう?」
『…』
見覚えのない部屋。足首の鎖。監 禁か。でもなぜ…?
太宰が、わざとらしく溜息をつく。
太「君は経験が少なすぎる」
『は?』
太「君が欲しい」
『…は?』
こいつは入水のしすぎで頭がおかしくなったのか?それとも元からくるくるパーだったのか?
太「君、今私のこと貶したでしょ」
『うん』
太「否定しないんだ?!」
『いや、それより私が経験が少なすぎるって?私が探偵社で働いてどれだけたつか知ってんの?14歳の頃からだけど?』
太「ほら、そういうところだ」
『は?!』
全く、意味が分からない。こいつは何を云っているんだ?
太「恋愛経験っていうのが君には全く無い」
『なくていいでしょ』
太「…だから君は…」
太宰が私の頰に手を添える。
『何しようと…?!』
太宰の顔が、目の前にあった。そう云えば、与謝野さんが「アイツは顔だけは良いからねェ」と云っていた。なるほど。確かにこいつ、
瞳を見た。というより、無理矢理見させられた。目が合う。
どこか寂しい目をしていた。
私は、こいつのことをただの同じ職場のやつとしか思っていなかった。いや、こんなことが無ければ、これからもそうだった。
私は、誰かを好きにならないように、自分を縛り続けていた。
大切なものが無くなるのは、嫌だ。
兄さんも弟も、大切な人はみんな消えていく。
社長だけは、乱歩さんだけは、どうしても無くしたくなかった。
自分のものではないのに、拾われたから、居場所をくれたから、依存していた。
だから、他のことに目が行かなかった。
もしかしたら私は、人助けも二人の為に行っていたのかもしれない。
私は…。
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花吹雪 - ブホォォォwww面白いです!応援してます! (2020年9月14日 21時) (レス) id: afa01603c5 (このIDを非表示/違反報告)
ミレー - リクありがとうございました(。・x・)ゞ♪ 遅くなってごめんなさい(つд;*) (2020年2月29日 15時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2020年1月19日 22時) (レス) id: 161c6e3e4c (このIDを非表示/違反報告)
ミレー - 今回も面白かったです(*^□^*) 今年も更新頑張って下さい (2020年1月2日 23時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
ミレー - リクエスト良いですか(*^□^*) 中也様(15) と中也様(16)お願いします(*^□^*) (2019年12月27日 21時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:五星暁。 | 作成日時:2019年9月17日 2時