☆*。゚ ページ7
はい、と1本手渡してきた伊沢さん。向かい合わせで座って教えてくれるみたい
ここ押さえて、右手は何本目の弦に、全部手取り足取り教えてくれた
「ん?」
『あ、ここは中指2本目の弦だから浮かせて…』
「う、浮かせる?」
『んふふ、難しいよね。ちょっと待って』
私の目の前に座り直して私の指を優しく掴む
『ここ、でこの指は曲げて…そうそう、ここね』
至近距離に彼がいるのと、手を握られているのとでほんの少し心が浮つく。そしてそんなことよりも自分の飲み込みの遅さに驚いた
「ごめんなさい、なんか時間割いてもらっちゃって」
『んーん、俺が教えたいだけ』
『一緒に弾けたら楽しいじゃん?』
なんて笑顔で言う彼。そんなん言われたらやってやろう、ってなっちゃうじゃん
「難しいですねぇ、」
『貸そうか?リビングにでも置いときなよ』
「いいんですか?」
『雫ちゃんだしね、』
弾けるようになったら一緒にリビングを武道館にしてやろーぜ、なんておちゃらけて伊沢さんは言う
「ありがとうございます。じゃあリビングに置かせてもらいますね」
「お邪魔しました〜」
『いーえー』
ガチャ
え、結局なんでかよく分からないって?一緒に弾きたいだけ。そのためにこんな健気に練習してんのかって言われたらそれまでだけど、なんか頑張っちゃうんだよね。なんでだろう?伊沢さんだからかな
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作者名:reo | 作成日時:2020年3月2日 20時