〃 kwkm ページ15
季節は冬。私が旅行に行きたい、と提案した所、彼は快く乗ってくれた
やってきたのは温泉。ここは日本有数の温泉街で街の中央には湯畑が広がっている
昼に別の場所に寄ってから来たので、日も落ちて暗くなってきていた。湯畑から出る湯気が街の明るさでほんわりと色づいていて、まるで別世界に来たかのよう。とても幻想的だ
『うわぁすごい』
「…なんだか雲みたいですね」
『…』
『…ふふっ、』
笑い声が聞こえたので横を見ると笑顔をほころばせてこちらを見ている彼。彼の息も白く染まっていた
「な、なんですか」
『んーん、なんでも』
「…」
「…綺麗ですね」
『やなぁ』
『…そろそろ旅館行こか』
:
お風呂から戻ってくると先にお風呂を終え部屋に戻ってきていた彼が窓際の広縁に腰をかけている。浴衣姿思わずドキッとする
『あ、おかえり』
机の上にあるのは日本酒と温泉饅頭。お互いさほどお酒に強いわけではないが旅行だしお酒でもたしなもうか、と旅館に来る際彼と買ったのだ
『呑もうよ、せっかくだし』
「ですね」
『はい』
「ありがとうございます。いただきますね」
談笑しながら彼とお酒を呑む夜。もっとお酒に強かったらもっとこんな機会もあるのかな、なんて思いながらお酒をいただく
しばらくしてお互いちょっとずつ酔いが回ってきた頃
「…」
『…綺麗』
窓を見ると雲1つ無く月がこの部屋を照らしている
「月…ですか？ほんとですね。まん丸です」
『…月もだけど』
『雫も』
彼は普段滅多にストレートに何か言ってくる事はない。突然の発言に驚いてしまった
「…」
「川上さん酔ってます？」
『…ほんのちょっとね』
ふんわり笑いながら彼は言った。その後『おいで』と手を広げながら言ったので私は彼に身を委ねた
「…」
『雫はさ』
「…はい」
『俺のどこが好きなん』
キュッと私を抱きしめながら彼は言う。酔って関西弁が出てるな、と思うと同時に川上さんもそんな事考えるんだ、とか思ってしまった。だって普段絶対そんなこと言わないんだもの
「…」
「…具体的にここ、とは言えないです」
『そっか』
「…川上さんこそ」
普段何も言わない彼だ。彼こそ私のどこが好きなのだろうかと不安に思う事が多い
『…』
『全部』
『…普段言うの恥ずかしいやん』
「…まぁ、」
『でも全部』
『…好きだよ』
『きっと、これからもずっと』
「…私もです」
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reo(プロフ) - 腹筋さん» わぁありがとうございます!!(；；)これからも頑張ります…!! (2020年2月11日 21時) (
レス) id: 6d42792b07 (このIDを非表示/違反報告)
腹筋 - どのお話も空気感がとっても好きです。毎日読んでは癒されてしまいます！素敵なお話をありがとうございます！ (2020年2月11日 19時) (レス) id: a7d0ab14cc (このIDを非表示/違反報告)
クロ(プロフ) - 凄く文章が自然で楽しく読ませて頂いています…！山本さんと旅行行く話の女の子とても可愛かったです！良ければでいいんですけど同じ人物でどこかで書いていただけないでしょうか？？ (2020年1月10日 19時) (レス) id: 1340a6aafd (このIDを非表示/違反報告)
reo(プロフ) - ナナシさん» ありがとうございます、、！！ (2020年1月6日 10時) (レス) id: c4c1eadbfe (このIDを非表示/違反報告)
ナナシ - めっちゃ好きな感じの書き方でびっくりしました。更新楽しみにしてます！ (2020年1月6日 2時) (レス) id: cbbd2e7772 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：reo | 作成日時：2020年1月2日 23時
