【0048】希望の星になれ・７～76期研究生～ (ページ33)

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Aの手にあっちゃんの体温が伝わる。

あ「襲名して生まれ変わりたいというあなたの夢は叶った。でもこれで終わりじゃない。これは新たなスタート。ここから新しいあなたの夢が始まるのよ」

A「新しい夢…」

あ「現実と呼ばれるあなたの世界には光を求めている人がまだたくさんいる。お願い、皆に歌を届けて。もっともっと輝いて皆の心を照らして」

A「もちろんです。皆の為にも、それに自分の為にも頑張り続けます。襲名できたけどだからって自分があっちゃんや優子さん達のような立派な襲名メンバーになったと思えませんから。これからも努力を続けます」

あ「ありがとう」

あっちゃんは優しく微笑み手を放すと、急に暗闇が消えていく。Aは驚くがあっちゃんは微笑んだままだった。

あ「目覚める時間だよ。またここで会いましょう。その時にはきっと同じステージに立っていると思う」

A「え…。あの…！」

あ「またね」

A「……！」

あっちゃん、とAは言おうとするが唇が動くだけで声が出ない。
暗闇もあっちゃんもすべて消え目の前が真っ白に染まった。

―――
　目覚めたAの目に最初に移ったのは、初めて見る天井だった。ふわふわして寝心地が良い布団の上に横になっていて、額の上に濡れたタオルが乗っている。顔を動かし周囲を見ると薄い暗闇の石壁に数え切れないほどの鉱石が生えていて、光を発していて美しく幻想的な光景だった。

ツ「目が覚めたのね」

よく知る声が聞こえ顔を向けるとツバサが歩み寄ってきた。いつものスーツではなく巫女装束を着ていてAは目を丸くする。

ツ「藍花星でライブが終わった後にステージで倒れて皆大騒ぎだったのよ。彼方が医務室に運んだんだけど、研究生達皆心配してそばにいたいって言い張ってたわ。ライブ終わりで皆疲れてるから帰したけど、シャワーを浴びたらすぐ医務室前に集まっちゃって。たかみなに「部屋で待とう」って説得されてやっと戻っていったのよ」

A「…そうなんですか…。あの、ここはどこですか？」

ツ「ここは00劇場の地下にある聖域よ。ここにいると襲名熱が落ち着くの。周りのデュアリウムはあなたの魂と共鳴して光り輝いているのよ」

A(共鳴…)

Aはもう一度デュアリウムを見るとキラキラと輝いている。不思議な現象を起こす鉱石を見つめ、ツバサに視線を戻すと口を開いた。

A「…13代目あっちゃんに会いました」

ツ「えっ？」