【0048】希望の星になれ・７～76期研究生～ (ページ3)

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”夢を叶える為なら敵であるライバルを蹴落として勝ってみせる”という考えは捨てたのだ。

Aにも、凪沙にも負けたくない。センターノヴァが歌ってきたという曲を歌えるという大きなチャンス掴んだ。このチャンスをものにしてみせる。
そしていつか…

智「絶対襲名して、いつかセンターノヴァになりたいんです。もしAさんが歌えないなら申し訳ないですが私が歌わせてもらいます」

智恵理は呟いた。

智「こんな所で終わるのは嫌なんです。Aさんにも凪沙にも負けたくない…」

凪沙に辞めてほしくないが、だからといって凪沙の決断にいくら友人でも口を挟む権利はない。それに自分に勝ったまま辞められるのもどうしても嫌だった。だから凪沙に自分の後ろで踊ってから辞めて、と言った。智恵理自身酷い事を言ったと思っている。だがそれほど勝ちたいという思いが強かったし、その言葉で凪沙の卒業を引き止めたのである。

A「…そんなに勝ちたいの？」

いつの間にかAの瞼が開いていて、智恵理を見上げていた。熱で瞳がぼうっとしている。

智「Aさん！すいません、起こしちゃって…」

A「私、智恵理に勝ってるなんて思った事ないけど…
……勝つことがそんなに大事…？負けるのは悪いこと？…まぁ、良くも悪くも智恵理はかっこつけたがるもんね……かっこ悪い自分を見せたくない。智恵理らしいね」

Aは赤い顔でうっすら笑った。

A「じゃあ私はかっこ悪い先輩なわけだ…アンダーかけて勝負した時負けたもんね。後輩に負けてかっこ悪い、ださい先輩だと思ってた…？」

智「違います！そんなこと思ってません。熱が出たのにそれでもステージに上がった強い精神力を尊敬してるんですっ！」

智恵理は慌てて否定する。

A「…智恵理にそんなこと言われる日がくるなんてね。
…あの時はすごく悔しくて大泣きしたけど……今思うといい経験になったよ」

智(え…。負けたのがいい経験…？)

A「止まっちゃだめだ。止まりたくない…ここで終わりたくないって思った。これからも悩むことがあっても…それでも夢に向かって頑張ろうって…」

智「……」

A「あの頃は、後輩に、智恵理に絶対負けたくないって思ってた。でも……今考えると……そんなに勝ち負け、こだわることないと思うんだ……
00は競い合って、お互い成長しあって輝いてるけど……勝つのにこだわりすぎると、大事なこと忘れちゃう」

智「…大事なこと、ですか？」