【0048】希望の星になれ・７～76期研究生～ (ページ19)

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智「私は凪沙とAさんに負けたくないと思ってた。でも、Aさんと話をして争うだけじゃ歌を届けられないってわかったの…」

A(智恵理…)

智「だから、凪沙の想いを届けて！藍花星の人達に！」

智恵理は笑顔でファンに手の平を向ける。戸惑う凪沙にAは荒い呼吸をしながら声をかけた。

A「歌いたかったんでしょ？練習頑張ってきたもんね……とられたくないって思っても普通のことだよ」

凪(Aさん…)

図星だった。凪沙は医務室でツバサから『渚のCHERRY』でバックになるよう言われた時、咄嗟に「待って下さい」と言おうとしたのだ。

”必死に頑張ってきたのにそんなの嫌だ”

凪沙はそう思っていた。
他の曲の自分のパートを友歌と織音に任された時も「嫌だ」「取らないで」と心で言っていた。自分を支え元気づけようとしてくれた友歌と織音に感謝しているし、迷惑をかけて申し訳ないとも思う。けれど自分のパートが二人の物になり、このまま声が出ず歌えなくなるのでは……とまで考え落ち込んでいた。

？「凪沙ー！」

　凪沙を呼ぶ子供の声が聞こえ、そちらを見ると友歌の妹と弟と両親がいた。そばに凪沙の母親もいる。友歌の弟が”凪沙”と書いたうちわを持ち、妹と友歌の両親が”友歌ガンバレ”と書いた手作りの横断幕を持って応援していた。

友歌妹「Aちゃん！智恵理ちゃん！可愛いー！」

友歌弟「凪沙ー！」

凪沙母「凪沙…」

凪(ママ…！)

護「こっちもだー！」

今度は護の声が聞こえ、そちらを見ると護の隣に凪沙の父親が立っていた。

凪沙父「凪沙…」

凪沙は父親の姿を見て驚き、唇を動かす。

凪「…パ……パ…！」

智「凪沙！」

A(よかった…)

瑞「―――凪沙っ！凪沙！」

すると、後ろから凪沙を小さく呼ぶ声が聞こえ、振り向くとステージ袖から瑞穂が少しだけ顔を出していた。

瑞「ほら！受け取って！」

瑞穂が腕を振り被って何かを投げる。凪沙は慌てて受け止めるとそれはマイクで、じっと見つめると握りしめた。

凪「私……歌う」

凪沙が前に出ると衣装の色が水色から黄色に変わっていった。智恵理の隣に立ち、二人は視線を交わすとファンに向かって歌い出す。歌う途中で智恵理のキララが激しく輝きだし、二つに分裂する。生まれたのはオレンジ色をしたきのこの形のキララだった。

智「あ…キララが二つに！」