【0048】希望の星になれ・７～76期研究生～ (ページ2)

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凪『おじさんおばさん！教えて下さい。パパが収容所に捕らえられたのって私のせいなんですか！？』

すると友歌の両親は戸惑い無言で顔を見合わる。話さないわけにはいかない、と友歌の父親は鍋にかけてた火を止めた。

友歌父『俺らは嘘八百で何とかごまかしたんだが…』

友歌母『お父さんはね、凪沙ちゃんに00を辞めさせろって迫られて…』

友歌父『本宮さんはそれをきっぱり断ったんだよ』

凪沙の父親は芸能が好きな凪沙にいい顔をせず、凪沙が00のオーディションを受けるのを反対していた。そんな父親がなぜ、と凪沙はとても驚いた。
父親は自分が芸能が好きな気持ちを理解してくれない。自分がアイドルになりたいという夢を応援してくれない。そう思っていた。だが、父親はたとえ自分が捕まってでも娘に00を辞めるよう言わなかった。つまり凪沙に00を続けさせたい。それが父の思いだったのだ。

A(そっか…それがショックで声が出なくなったんだ…。そんなことになってたなんて…凪沙辛いだろうな……
凪沙のお父さん、多分…芸能管理局の人だからって言うより…心配して反対したのかも。00の活動は危険だし、世間じゃテロリスト認定されてるから…娘が大事なら反対するよね……
言葉では厳しいこと言っても…心の中では応援してたんだ……きっと不器用な人なんだろうな…。凪沙、いいお父さんだね…)

―――
　彼方達が出て行った数十分後、Aが眠る医務室に訪問者が現れた。智恵理である。ゆきりんはおらず医療スタッフが数人いて、智恵理は足音を立てないように注意しながらAがいるベッドに歩み寄った。

智(顔が真っ赤…汗も出てる)

智恵理はそばに畳んで置いてあるタオルを手に取り、Aの顔に流れる汗を拭う。

智(ステージに出れる状態じゃないのにそれでもソロ曲を譲らなかった。それだけやりたいんだ。きっと私と同じ位歌いたいって思ってるんだ)

Aの精神力の強さに尊敬の念を感じた。
尊敬しているが、それでもAに勝ちたいという思いは消えない。

―――Aが熱でステージに出られなければ…
―――そうすれば『渚のCHERRY』を丸々一曲歌うことができる…

智恵理は心の奥からそんな悪魔の声が聞こえた気がしてAをじっと見つめた。だが、はっとして顔を激しく左右に振る。大切な仲間に、尊敬する先輩にそんな事を少しでも考えた自分に恥じた。

智(何考えてるの！いくら勝ちたいからって、正々堂々勝たなきゃ意味ないじゃない！)