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―――違うよ。
―――後輩にチャンスを奪われたんじゃない。選ばれなかったのは自業自得だ。めぐもわかってるでしょ?
Aの脳裏に正直な思いが浮かぶが、口に出せない。
嫌われたり、偉そうにとうざがられるのが怖いから。
大切な友達で仲間である同期と衝突するような事をしたくない。けれどこのままでは同期が増々だめになっていくんじゃないかという不安に襲われる。
A(私は皆と一緒に頑張りたい。襲名して輝きたい…)
彼女達のように。
夢で見た13代目あっちゃんと少女達のまばゆく輝く光のライブが思い浮かぶ。キラキラとした輝きに彼女達の想いのこもった歌。それを思い出すと、なんだか不安な心が温かくなっていく気がした。
A(言わなきゃだめだ……大事な仲間なんだから、だからこそキツくても言うべきことは言わなきゃダメだって教わったじゃん。勇気出さなきゃ……信じなきゃ……!)
嫌われてもいいという勇気を出そう。たとえ衝突しても最後にはわかってもらえてひとつになれると仲間を信じなければ。
姫「練習をしなかったのは悪かったけど、連れてってもらうことすらだめなんて…」
晶「私達だけ留守番かぁ」
瑞「なんか智恵理といい77期といいツバサさん特別扱いしてない?いくら練習したっていっても入って間もない新人をアンダーにするなんてさ」
姫子と晶は落ち込んだ様子で呟き、瑞穂は不機嫌そうに不満を零す。
ドクン、ドクンとAは鼓動が速くなるのを感じる。無意識に手を力いっぱい握り締めていた。
A(ねえ、めぐ私に言ったよね。「言いたいことがあるならはっきり言って」って。皆も頷いてたよね。言っていいよね?
たとえ衝突したって、ケンカになったとしても……めぐ達ならわかってくれるって信じていいよね?)
歌が、今Aに勇気を与えた。
A「…全部自分達のせいでしょ」
Aが低い声で言い放つとしんと静まり返る。
葉「え…ちょっと、A…?」
A「私、襲名メンバーのレッスンの見学したらどうかって言ったよね。皆に少しでも練習してほしくて遠回しに言ったんだよ。でも皆遊んでたんだよね。はっきり言えばよかったね。皆にうざがられたり嫌われたりするのが怖くてはっきり言えなかったけど…勇気出して言うよ」
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作者名:空 | 作者ホームページ:http://id38.fm-p.jp/213/7772010/
作成日時:2017年7月15日 8時