【0048】希望の星になれ・４～76期研究生～ (ページ13)

今日:4 hit、昨日:13 hit、合計:69,755 hit

〃ページ13

以前よりファンレターの数が増えてきているのだ。自分を見てくれるファンが増えているというのを実感し嬉しくなる。

A「…あ。メイフォンちゃんのある！さっそく見よっと」

Aは皆より一足早くリビングを出て行き、自分の部屋に向かっていく。その姿を葉月達がじっと見つめていた。

姫「A、嬉しそうだね」

宇「努力の結果が出てきて嬉しいんでしょ」

晶「にしてもさ、昨日は驚いたよね。Aがキララ連れ帰ってきてさ！いつの間にかそばにいたって言うけど、あのキララどっから来たんだろうね？」

葉「…キララにアイドルとして認められたって事なのかな。輝いてたもんね」

葉月がワントーン低い声で呟き、その元気のなさに皆が気にかける。

　実は昨日Aが運河近くで歌っている動画がSNSに投稿されたのだ。歌っていたAの姿を見物人の一人が携帯電話で撮影し、キララの輝く瞬間を撮ったのである。ファンの間で研究生がキララを輝かせたと話題になっていた。
そのことに76期生は驚きと、そして悔しさと嫉妬を感じているのだ。始めは歌も踊りも一番下手だった同期が実力をつけていき、ついにキララを手に入れ輝かせた。Aが努力したからだとわかってはいるが素直に喜ぶことができないでいる。それでも大事な仲間なので嫉妬から無視したりひどい言葉をかけたりなどはしなかった。

瑞「…なんで私にはキララがいないの。私だって頑張ってるのに…！なんでよ…」

瑞穂は顔を伏せ、悔しそうに声を絞り出し拳を握る。同期の誰もが思っていることで、暗く落ち込んだ雰囲気になるこの場に複数のわいわいとした声と足音が近づいてきた。

楚「楚方のファンレター♪ファンレター♪」

織「ファンレター、リビングに置いてあるって言ってたよね」

凪「77期にもきてるなんて嬉しいね」

真「私にもきてるかなぁ…？あーっひとつもなかったらヘコむー！」

笑顔の77期生が中に入ってきた。
室内には彼女達と反対に暗い表情でしんと静まり返っている76期生。
最悪のタイミングである。

真「な、なに…？」

鈴「何かあったようですね…」

真琴と鈴子が小声で話していると、瑞穂が77期生を鋭い目で睨み付け早足で出て行った。葉月はあからさまに後輩からそっぽを向いて瑞穂の後に続き、皆も無言で付いていく。先輩の後ろ姿を眺めながら友歌が眉を吊り上げた。

友「なにあれ。やな感じ！」

楚「べーっだ！」

楚方があっかんべーっと舌を出す。