【0048 next stage】希望の星になれ～76期研究生～ (ページ11)

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―――本公演開演前・控室―――

と「―――はい、出来上がり」

　ともちんがコトン、と軽い音を立ててをリップグロスをメイク台に置いた。鏡には濃すぎず薄すぎ、素材を引き立てるメイクがされたAが映っている。Aは感動の面持ちで鏡をじっと見つめていた。

A「(やっぱすごい。自分で言うのもあれだけど100倍可愛く見える)ありがとうございます。すいません、またメイクお願いして……どうも苦手で…」

と「いいわよこれくらい。でも、いずれは自分でできるようにならないとね。じゃあ後は髪だけだから」

A「はい。ありがとうございました」

軽く手を上げ優雅に立ち去るともりんにAはお辞儀し、ブラシを握って髪を整え始める。すると佐江が声をかけてきた。

佐「あっちゃんって研究生の時メイクあんまりしてなかったもんね。軽くする程度だったっけ」

A「うん。襲名メンバーになったしもうちょっとメイクしたほうがいいなって思ってしてみたけどあんまりうまくいかなくて。アイメイクが特に難しいや。ともちんさんみたいに綺麗にナチュラルな感じにできない」

髪もしっかりセットしてブラシを元の位置に戻す。
そして、壁にはめ込まれているモニターを見上げた。ライブ会場の様子が映っており、大勢の観客が研究生のアンコール曲で盛り上がっている。
Aの凱旋ライブはもうすぐ始まる。緊張と不安で胸のドキドキが高まってゆくのを感じていた。佐江はAが表情を硬くしているのに気づく。

佐「…緊張してる？してるよね。故郷でのライブだもんね」

A「うん。練習はたくさんしたけど、失敗しないかなとか、皆盛り上がるかなって不安になる。しかも見るのが故郷の人でさ。私目立つタイプじゃないから私のこと知ってる人なんて少ないけど、正直何言われるかって怖い」

佐「大丈夫だよ。あっちゃんはずっと頑張ってきたってファンの人なら知ってる。ここの人達だって自分の星からあっちゃんが誕生したって喜んでる映像ニュースで見たじゃん。SNSでもお祝いコメントすごいあったし」

A「うん、ありがたいよ。でもさ、私両親以外に00のオーディション受けること言わなかったんだよね。だからクラスの子とか先生がすごい驚いてたって00入ってから友達がメールで教えてくれた。なんで地味子のあんたなんかがって悪口メールもきた」

佐「え！？」

初めて聞く話に佐江は思わず大きな声を上げ、周りで待機している襲名メンバーが振り向く。