〃 ページ23
A(あの私達に対抗心バリバリな智恵理が素直に親切受け取るとか！「ありがとう」とか！ついにデレた！？)
今までツンツンしてきた智恵理も共同生活によって少しは素直になったのだろうか。
―――ガタッ！
突然何かが倒れる音が響き、全員が振り向くと織音がテーブルにコップに入ったお茶を零していた。
織「あっ、ごめんなさい！」
凪「織音、大丈夫？」
織音は慌てて布巾でお茶を拭く。凪沙が駆け寄り声をかけると、織音の手が小刻みに震えているのに気づいた。平静を装いつつもやはりアンチの少年のことを気にして怯えているのだ。凪沙が心配そうに見つめていると、パンパンと手を叩く音が響く。ツバサだ。
ツ「さ、そろそろ時間よ。織音、いける？」
織「…はい」
織音は緊張した雰囲気を漂わせながら静かに返事をする。
凪「私達、織音の事ちゃんと守るからね！」
楚「楚方も！ブツゾーも守るよ。ブツゾーは楚方と織音の立派な盾になるよ！」
織「盾言うな！」
楚方と真琴の漫才のような会話にAは少し笑ってしまう。
織「ありがとう…皆…」
―――
研究生の握手会が始まり、A達76期生は4人ずつに分かれた。Aは姫子、葉月、恵と一緒にテントに入り、やってきたファンと握手を交わす。
A(77期も今頃握手してるだろうな。緊張してるだろうね。私が初めての時はすごい緊張したし、引っ込み思案だから他人と握手して話すなんて抵抗あったんだよなぁ…。うまく喋れなくて盛り上がらなかったっけ。初めてアンチが来た時はダンスが下手って説教されてへこんだし。
1年以上もやってさすがに慣れたけど、やっぱまだうまくトークできないや)
ファン「めぐたんに会いたくて来たんだ！生で会えて俺すごい嬉しい！」
恵「わざわざ僕に会いに来てくれて嬉しいです、ありがとうございます！お兄さんにもっと笑顔になってもらえるようにこれからも頑張りますっ」
A(めぐはすっかり慣れてるよね。自然に可愛く笑えてるし明るくしゃべれるし)
Aはファンと握手する恵をチラリを見た。
自分も恵のように自然に笑ってトークをしたいところだが、どうもファンに好かれるように対応しなければ。アイドルらしくしなければ。と色々考えると自然に自分を出すことができない。それでも並んでくれるファンと握手を続けると、一人の男性がAに申し訳なさそうに言った。
男「あの…あの時はごめん」
A「え？(何のこと？)」
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作者名：空 | 作者ホームページ：http://id38.fm-p.jp/213/7772010/
作成日時：2017年2月5日 20時
