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A「…なんでわかったの」
宇「わかるよ、仲間なんだから。Aは私達以外にはちょっと引っ込み思案だからはっきり言えないと思って私が言っといた」
ふふふ、と得意げに宇美は笑う。Aは自分の気持ちを分かってくれる仲間の存在を有りがたく思いながら「ありがとう」と礼を言った。
と、ここで姫子がポケットから携帯電話を取り出しメールアプリを開く。あ、と小さく声を上げた。
姫「らぶたんさんから返事きた」
晶「えっ！なんて書いてるの？」
姫「『狙いたきゃ狙えばいいじゃん。別に私は怒っても不安がってもないし。心配無用。この私かららぶたんの名前を奪えるもんなら奪ってみるといいよ』…だって」
李「らぶたんさんらしい…」
姫「…あ。まだある」
返事の文章の下が何度も改行してあり、最後の行に一言メッセージが書かれている。それを見た姫子はくすりと笑った。
姫「『心配してくれてありがと』、だって」
A「きたねデレが」
晶「らぶたんさんデレいただきましたー！」
―――
A「本日の前座を務めさせていただきます76期研究生の名字Aです。よろしくお願いします！曲名は『ロマンスかくれんぼ』」
この日の劇場公演の前座はAが務めた。観客の一部の人は真面目に見たり拍手したりしているが、ほとんどは見ておらず携帯電話をいじったり友人と話したりしている。Aは悔しさと悲しさを感じながら歌い踊り続ける。
襲名メンバー目当てに来ている観客は研究生に興味がない。だから無視するのだ。しょせん研究生は襲名メンバーの引き立て役のような存在なのだ、とAの心は暗く沈んでゆく。
そんなAをずっと見つめてる少女がいた。楚方と同じ年頃で、長い銀色のロングヘアを背に流しチャイナ風のワンピースを着ている。
少女「…っ」
少女はイライラした様子でAを見つめ、周りに視線を移す。ほとんどの観客が携帯電話をいじっていたり、話をしていたり等とステージをまったく見ていない。それを見る少女は増々苛立った顔をした。それを隣の席の女性がはらはらした様子で見ている。少女はもう我慢できない、とばかりに立ちあがった。
少女「いい加減にせんかぁっ！！！」
この大きなホールに少女の怒鳴り声が響いた。
観客もAも驚いて動きが止まり、全員が少女に視線を向ける。少女は観客達を見渡しながら睨み付けた。
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作者名：空 | 作者ホームページ：http://id38.fm-p.jp/213/7772010/
作成日時：2017年2月5日 20時
