きみにだけ 川西 ページ13
Aside
「Aー！和牛さん、そろそろ始まるって！！」
相方の声が響いて、はーい！と返事をし、駆け足で相方のもとへ向かう
相方と舞台袖に歩き出す
相方の低い声が響いた
「俺たちの出番までまだ時間あるよね？」
出番ぐらい覚えといてくれや、と相方に思うが、こんなこと日常茶飯事である
「和牛さんの次やね」
「お、ちょうどええやん」
今もお世話になっている先輩たちの舞台を袖で見るのが、私たちの当たり前だ
和牛さん。和牛さんは、本当にすごい
あんなに面白い漫才が作れて、コメントも面白くて
私達は、和牛さんに憧れている
あんな芸人になれたら…
――なんて、真面目な顔してるけど
本当は、川西さん今日もかっこいい、ってずっと思ってるだけ、ずっとメロメロになってるだけ、
高鳴る胸をしっかりと抑えて、舞台袖で見学する
少しして、喜びを噛み締めていると、後ろから大好きな声がした
｢Aちゃん｣
少しかすれた、男の人だなって思わせる声
｢川西さん！｣
自分でも顔が明るく赤くなっているのに気付きながら、今日も楽しみです、と言う
｢いつも言うてくれるなぁ、嬉しいわ、｣
皺を深くしながら、私の髪をわしゃわしゃと乱す
相方の方をちらりと見ると、水田さんと話しているようだった
だから今は、川西さんと私、2人っきり
｢和牛さんの漫才大好きなんですっ、｣
ふふ、と笑うと
｢ほんまに、可愛ええ後輩持ったわ｣
と独り言みたいに呟いた
可愛ええ、たった4文字に胸がときめいて
私が何か言いかけた瞬間、和牛さん達はステージ吸い込まれてしまった
その時、川西さんが微笑みかけてくれた気がして
甘いものを噛んだみたいに
甘さが胸の中に広がって
ぎゅっと胸を抑えた
｢良かったな｣
相方が立ち尽くしている私に、そう呟いた
｢…この時間、ほんまに短くて嫌や、｣
私の気持ちを知っていてくれている、唯一の人
男だからお前の気持ちはよくわからんけど、って言いながら、いつも助けてくれる
｢落ち込まんといてや、出番すぐなんやから｣
｢落ち込んでなんかないて、私やって大人やもん｣
｢分かるわ、何年一緒におると思ってるん？｣
｢それ言われちゃったら適わんけど｣
その間にも、和牛さんは爆笑をかっさらっている
劇場に息を吹き込むように、喋る川西さん
誰よりも素敵だけど、
今、川西さんの瞳に映っている人が私じゃないということだけで、こんなに気持ちが暗くなる私に、嫌気がさした
続く
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輪島(プロフ) - ミサキさん» ありがとうございます！！テスト終わったら爆速で書きますねᐠ( ᐢࡇᐢ )ᐟ (2022年6月24日 20時) (
レス) id: 4d40765142 (このIDを非表示/違反報告)
ミサキ(プロフ) - 自分も学生なので気持ちわかります……お互い頑張りましょ！ (2022年6月24日 0時) (レス) @page8 id: 1fece32f94 (このIDを非表示/違反報告)
ミサキ(プロフ) - お願いしますっ！⸜( ॑꒳ ॑ )⸝ (2022年6月24日 0時) (レス) id: 1fece32f94 (このIDを非表示/違反報告)
輪島(プロフ) - ユーリさん» ユーリさんありがとうございます〜、実はちょうどこのお話の続き書こうかなって思ってました笑本当に励みになります！絶対にいい作品にしますね！本当にありがとうございます！！ (2022年6月21日 23時) (レス) id: 4d40765142 (このIDを非表示/違反報告)
輪島(プロフ) - ミサキさん» ミサキさん、ありがとうございます！！返信遅くなってしまい本当に申し訳ありません、お知らせにも記載しましたよう遅くなってしまいますが書かせていただきます！ありがとうございます！ (2022年6月21日 23時) (レス) id: 4d40765142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：輪島 | 作成日時：2022年5月22日 14時
