12年ぶりに再会したら、元カレが女の子になっていた件について (ページ6)

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4話ページ6

俺の目の前に現れたのは、１２年前に別れたはずのAだった。

正直信じられなかった。相変わらず闇夜のように真っ黒な髪に、透き通った海のような瞳をしていた。

いろんな感情が押し寄せてきたけど、今の俺には処理しきれなくて。

気が付けば俺は、Aに助けを求めていた。

「とりあえず、俺の家に来いよ。近いんだ、ここから。…ああ、今は一人暮らしなんだ」

そう言ってAは、あの頃と変わらない笑みを浮かべた。今の俺には、とても眩しい。

「………一人暮らししてる？」

確かAはとても有名な企業のお嬢様、だったはずだ。だから、ちょっとピンとこない。

「マイキー、俺が箱入娘にでも見えるのか？」

「…そういえば、昔のAはやんちゃ、だったね」

「ははっ、やんちゃってレベルじゃなかったけどな」

やっぱりAが笑うと、心が落ち着く。とくに今の俺には…

「…A、今の俺は…その…昔の俺じゃないかもしれないけど…」

身体がまたしんどくなってきた。吐き気もする…

「…俺が背負って運んでやるから。安心しろ、マイキー」

本当に、Aは優しいな…

？「…行ったか？」

？「おう。なんとか、間に合ったみたいだなぁ」

？「あとは、見守るだけ…ですよね、場地さん？」

マイキーとAが去った後の路地裏に、複数の人影らしき何かがうごめいていた。