3話 ページ5
夕方仕事を終えて、店の裏口を出た時のことだった。
ドサッという、音がした。普段なら気にもしないが、何故かその日は妙に気になった。…というより、誰かに急かされたような気がした。
とりあえず、音がした方に向かう。多分そんなに離れていないはずだ。
ビルとビルの間に、人影が見える。倒れているように見えたので、慌てて声をかける。
「…大丈夫か?」
不意に、相手の顔が見えた。
ドクン。
胸の動悸が、急激に高まっていくのを感じた。まさか、こんな形で再会するなんて…
身体は幾分か瘦せたように見えたし、髪型も変わっていた。でも間違いなく、俺の前で座り込んでいるのは…
「………マイキー?」
とっくに別れたはずの、元カレだったのだ。
「……A」
どこか寂しそうな笑みを浮かべて、マイキーも俺の名前を呼んだ。…けど、こんなに声高かったか?
「マイキー、その、一体何があった…うおっ!?」
急にマイキーが立ち上がり、俺の身体にギュッとしがみついてきたのだ。けど、その力は明らかに弱弱しいし、何より…
何か柔らかいものが、俺の胸元に当たっている。
戸惑う俺に対して、マイキーが今にも泣きそうな顔で言った。
「A、A…助けて…俺を、助けてくれ…!」
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作者名:米グルイ | 作成日時:2022年8月22日 22時