12年ぶりに再会したら、元カレが女の子になっていた件について (ページ4)

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2話ページ4

バキンッ

気が付いたら、手首と足を縛っていた鎖が壊れていた。何故かはよく分からない…

フラフラと立ち上がったら、ドアの方から人の騒ぐ声が聞こえてきた。ぎゃあ、という声もしたので、何者かに襲われているらしい。

…それよりも、さっきからずっと気分が悪い。胸も重たくて、どこかに触れる度にビクッとなってしまう。俺は、男のはずなのに。

今度は固く閉ざされていたはずのドアが開いた。誰かが入ってくる気配はない。

(今なら…逃げられるかな)

イザナに妙な薬を飲まされてから、思考まで女々しくなってしまった気がする。でも今は、そこまで考えている余裕はなかった。

ブカブカの服を引きずりながら、俺は今の今まで地獄だったであろう、廊下に出た。

不思議なことに、組織の人間にもイザナにも見つからず、俺は路地裏まで抜け出していた。必死に歩いている間、常に誰かに支えられている感覚があった。

でもこれ以上は動けそうにもなくて。

へなへなと、その場に座り込んだ。息が乱れて、苦しい…

カツン。

ハイヒールが放つ音だと分かった。見つかったのか…まあいいや。どうせ俺は、逃げられないんだ…この苦しみからは。

？「…大丈夫か？」

懐かしい声が、聞こえた。