12年ぶりに再会したら、元カレが女の子になっていた件について (ページ25)

今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:8,699 hit

23話ページ25

「A…優しいね」

そう言って、スリスリと頬擦りをするマイキー。ほどよく柔らかく、温もりがある。流石に頬擦りは慣れないので、ちょっぴり照れる。

「お前を放っておくなんて、俺には出来ないからな。俺にとってお前は、今も昔もかけがえのない存在だから」

彼奴にとって、全てが絶望に染まってしまった世界だとしたら。

なら、俺が彼奴の隣にいて支えてやりたい。どんなに苦しくても、生きようと思えるように。

「俺…Aが想像しているよりも、ずっと酷くて悪いこともしてきたんだ。仲間もみんな俺が殺った。それでもお前は…俺と一緒に、いてくれるの？」

懺悔に限りなく近い言葉が、マイキーの口から溢れる。罪の意識がある証拠で、今もマイキーはそれを抱えているのだ。

「ああ、ずっと一緒にいるさ。お前がやったことを忘れろとは言わない。俺もお前がやったことを受け止めるし、いくらでも背負ってやる…それに」

そこで言葉を止めて、マイキーの真っ黒な瞳を見つめる。悲しみと絶望が入り混じった瞳を。

「お前には生きてほしいし、幸せにもなってほしい。…我ながらワガママだろうけど」

直接言葉にすると、やっぱり多少は照れ臭い。両頬が少し熱くなるのを感じた。

「………分かった、A」

弱々しいが、それでもはっきりとした声がした。

「俺も…お前と一緒にいたいから。だから、生きるよ。世界が真っ黒でも、Aと一緒なら平気」

そう言ったマイキーは、あの頃と同じ笑みを浮かべた。