11話 ページ13
オムライス。昔のマイキーは、休日の昼によく食べていたっけ。
あの頃は本当に楽しくて、変な例えかもしんないけど、何もかもが輝いていた気がする。
二人分の材料を用意してオムライスを作りながら、今となってはほろ苦さも感じる過去を思い出していた。
愛美愛主との抗争、血のハロウィン、聖夜決戦、そして関東事変ー。
真一郎さんは最悪の形で亡くなり、パーちんや一虎は捕まり、場地は自ら死を選び、そしてエマまで抗争に巻き込まれて命を落としてしまった。
大切なものがいなくなる度に、マイキーが追い詰められていたのは分かっていたはずなのに。
どうしてちゃんと傍にいてやれなかったのだろう?
鋭い痛みを伴った後悔は、何度拭いても消えない。
「……A?」
マイキーの声で、憂鬱になりかえていた俺の心が軽くなる。
「…大丈夫?」
ちょっと弱弱しいが、マイキーは俺のことを心配してくれていたらしい。
「ん、ちょっと昔を思い出してさ…」
敢えてマイキーの前で本音を漏らす。抱え込んでしまったらもっとしんどくなるのは、よくよく分かっているから。
「一緒にご飯、食べよ?そしたら元気になるだろ?」
そう言って精一杯の笑みを浮かべるマイキー。…うん、すげぇ可愛い。
「そうだな。もうすぐ出来るから待っててくれよ?」
こんなしんどい世界でも、寄り添うことは出来る。そう信じられる時間だった。
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作者名:米グルイ | 作成日時:2022年8月22日 22時