13話 ページ15
嬉しそうにオムライスを食べているマイキーを見ただけで、ホッとした気持ちになる。
少しはあの頃に戻れたのだろうか。出来れば、そうであって欲しい。
どういう形であれ、大好きなマイキーと一緒にこうして食事を摂るというのは、奇跡であり幸せなことなのだと思う。
一心不乱に食べ続けているマイキーに愛おしさを感じつつ、さり気なく、路地裏での事を聞いてみる。
「あのさ、マイキー」
「んっ…なあにA」
よく見れば、ほっぺに米粒がついている。あざと可愛い。
「…答えにくいかもしんないけど、路地裏でお前を見つけた時さ…その、何があったのか…って」
マイキーは、しばらくスプーンを口に運ぶのを止め、ジッと俺の方を見てきた。…やっぱりまだ早計だっただろうか。
「………変な薬を飲まされた」
「…え」
「…だから、怖くなって逃げてきた」
心なしか声が震えている。これ以上は問わない方が良さそうだ。にしても薬を飲まされるなんて、マイキーはかなり危ない場所にいたことになる。
「で、気がついたらこんな身体になっちゃった」
そう言って、自虐めいた笑みを浮かべるマイキー。
「っ…マイキー」
なんと声をかけてやれば良いのか、分からなかった。どうしたら、傷ついたマイキーの心を癒やしてやれるのか。
時間のかかる課題になりそうだ。
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作者名:米グルイ | 作成日時:2022年8月22日 22時